捨てたくて仕方がない
あたしの部屋を見た友人に、「物が少ない」と驚かれたことがある。
要らない。何もとっておくことができない。今すぐ使う物以外は、全て捨てたい。
理解してくれる人がなかなかいない。
長く勤めていた飲食店を辞める時、その店は人が辞める時に色紙に寄せ書きをして渡す習慣があったので、前もって断っていた。「貰ったその日に捨てるよ、皆忙しい中わざわざ書かなくて良いから」と言った。
そう言ったので最後の出勤日に色紙は現れなかったが、一人一人手紙を書いて渡してくれた。物を渡されたくないという我儘は伝わらず、色紙恐怖症の人だと思われたのかもしれない。
思い出の品が要らない。
自分はもうそこにいないのに、今もまだ終わっていないような気がしてしまう。
記憶と経験だけあればいい。
今日の事も早く捨てたい。