長期休暇を通じて人生をリセット
1か月の休暇を終えて日本からマラウイに戻ってきました。正確には45日間、しっかりとお休みをいただいていました。
「欧米にはバカンスの文化があって、1ヶ月ほど休暇を取っている」
こんな話をよく聞いていました。内心、うそでしょ、と思っていましたが、実際こちらで働いていて欧米系の政府機関や国連機関の人たちを見ていると確かに7月から8月にかけて1か月ほど休んでいる人が多いです。
その時期は、援助関係者や政府関係者の中でも「そういう時期だから...」という空気が流れて、仕事全体のペースも緩やかになっている気がします。
そして休暇(バカンス)から帰ってくる9月から年末に向けて再び仕事のギアが巻き直される...
海外で働く中でこういうことを肌身で感じていました。自分も日本で働いているときは、”長期休暇”といっても2週間が限界でした。
仕事もあるし1ヶ月以上の休みは無理、と思っていました。(もちろん所属している組織での権利上は、十分な有給休暇が付与されています。)
ところが海外で働くようになり健康管理という目的のもと、日本に一時帰国して健康診断を受ける制度があることを知りました。
正直1か月の休暇を取る、というのは「仕事大丈夫かな...」「残された同僚への負担...」という心配がありました。
結果として安心して休暇をとれたことに本当に同僚に感謝をしています。
休暇期間中、何をしていたのか
この休暇中で何をしていたのか、というと、ほとんど何もしていませんでした。「とにかく休む」これを目標にしていました。(カッコつけて言うなら「何もしない」ということをする。)
マラウイにいるときは「世界に飛び出す日本人」や「マラウイチャンネル」「A-GOAL」など仕事以外にも活動を詰め込んでいました。
もりもりに活動を入れ込んでいたので、とにかくゆっくりしたいなーと考えていました。
当初は南の島に行ってビーチ沿いで読書をしながらオリオンビールを昼間から飲みたいなと思っていましたが、帰国時にちょうど新型コロナウイルス第5波が始まり、緊急事態宣言が出ていました。
遠出も避けてとにかくゆっくりしていました。あえて言うなら”生活”をちゃんとしようと思っていました。
料理、洗濯、掃除、散歩、読書...
生活するうえで欠かせないことを一つ一つ丁寧に行っていく。そんなことを考えて過ごしていました。
結果、休暇期間中にこれと言って何か目に見える成果はなかったですが、自分なりにゆっくりすることができて、また洗濯の楽しさや料理の献立の選びかの難しさを体験することができました。
今回、実際に1か月以上の休暇を過ごして、そこで感じたことをまとめておきたいと思います。
感じたこと①仕事は人生の一部でしかない
マラウイにいる時は仕事がメインの生活で仕事が否応にも生活の中心にありました。
どちらかと言えば自分は今の仕事が好きな人間で、「仕事をする」ということにもそれほどストレスがないと思っています。
しかし、ストレスではないと思っていても、実際のところ結構疲労がたまっていたりしました。マラウイでは大体9時くらいにはベットに入って寝ていました。
仕事を通じて得られている「今日も頑張ったオレ」みたいな謎の満足感もありました。
仕事こそ自分が生きる意味で、仕事こそ自分の時間の大半を占めていました。その”仕事”がなくなったら、自分の生活はどうなるんだろうと考えていた部分があります。
そんな中での休暇だったのですが...
結果、仕事をしなくても、読書や勉強、洗濯、食事、掃除などやるべきことは沢山ありました。
仕事以外にもやるべきことは沢山あり、また人生で経験すべきことは沢山あると感じました。仕事だけに使っているのも、もったいないなという考えになりました。
もちろん仕事も好きですが、仕事だけで人生を埋め尽くすのではなく、適度に余白を作る。その大切さを感じました。
感じたこと②仕事は生き甲斐として大事
その一方でこんなことも感じていました。
その一方で、やっぱり仕事というのが自分の中で大切なものであり欠かせないものだっていうのを感じました。
仕事を通じることでマラウイのことを考えていますし、社会とのつながり、同僚含めた人間関係を感じることができます。
「なかなか仕事がないと人と関わる機会がない」
これは緊急事態宣言下というのもあったかもしれませんし、僕の交友関係が狭いということもあったかもしれませんが、ほとんど人と会うことはありませんでした。仕事を通じての人間関係大事だなと感じました。
また、働いて達成感を得るというのも人生において大事だなと思いました。
働いてタスクをこなす、小さいことかもしれないですが、自己満足感を高めてくれます。
”生活”だけしていると、何かを達成するという実感があまりなかったというのも事実でした。
結局、自分の場合ライスワーク(仕事)とライフワーク(自分がやりたいこと)がかなり近いので、仕事をするっていうのは人生にとって有意義なことなのだなと実感しました。
感じたこと③"何もしない”と決めるだけで心が安らぐ
行ったり来たりの話になってしまいますが、それでもやっぱり仕事のことを忘れてのんびりするのは大事でした。
仕事をしていると何かにいつも追われている感覚でした。〆切のある仕事ですし、当然なのですが、そうした迫ってくるものがないというのは心をすごく落ち着かせてくれました。
「心の落ち着く状態」それがわかった後、マラウイの仕事のある生活に戻ってきてからも、仕事のメリハリをつけるということにもつながったかなと思います。
感じたこと④マラウイという国は特別
今回は、日本で休暇を過ごしましたが、日本で過ごす中で自分にとってマラウイは特別だなって言うことを改めて感じました。
日本での暮らしはとにかく便利でしたが、人の感じや物が整然と並んでいる姿などに、無機質さを感じるようになっていました。
これはマラウイに戻ってから感じたのですが、とにかくマラウイはいろんな環境が自然です。多くの人が自然体で生きています。その中で心地よいお風呂に入って生きている感じです。
また「マラウイに住んでいる」これは、自分のアイデンティティだなと思いました。
日本にいるとアフリカの話題のニュースはほとんど聞きません。やっぱりアフリカは遠い国なんだなと感じます。
そのアフリカに自分が住んでいるってことは、他の人から見ると結構珍しいのかなと思いました。
逆に、マラウイに住んでいない自分自分には他の人と比べる目立つものがあまりないなと思いました。(もちろん、目立つという目的でマラウイに住んでいるわけではないですが)
長期休暇を取って人生をリセット
こんな感じで、休暇期間中は過ごしていました。思った以上にゆっくりすることができましたし、自分のことを見つめなおす機会になりました。
「休暇を取る」「仕事から離れる」「いつもと違うことをする」
ふと自分の人生を考え直してみるときにこういう手法が役に立つことを、この休暇を通じて身を見って経験することができました。
人生100年時代、何度も自分の人生を振り返って、ライフシフトしていくことは重要だと思っています。
これからの人生において、あと何度長期休暇をとる機会があるかはわかりませんが、またいつか休暇をとって人生を見つめなおしたいと思います。