晴れて置いてけぼり

天気がいい。

明るい初夏の日差しに風はやや涼しく、暑いと感じても日陰に入れば快適だ。湿度も高くなく、洗濯物もすぐに乾くだろう。新緑の木々の間に見える空の青は完璧な爽やかさ。

室内に戻り、辛うじて遮光カーテンだけ開けた窓から見える景色に追い付けない。

何かに焦っていて不安でほの暗いところで安定している私を、こんな天気を前にして活気溢れる気持ちになれない人間は異常だと批判する。

自分の植生が日陰なんだといじける気もないが、植物より容易に移動できる私は日陰と日向を行ったり来たりすることも確かだ。

無理やり自分の外向モードをオンにした後は、長めの回復期としての内向性が心地よい。

きっとただそれだけのことなのだが、妖怪のごとく私の頭にとりついた爽やかな人間像が光源となって、自己像を反射し、好かれなさの虚像を結ぶ。

なんて駄目な人間なんだといつものごとくダメージをくらい、ついには横になる。

飛行機の通る音がする。遮るものがないくらいの晴天。

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