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【映画館の旅・和歌山編vol.2】和歌山の映画上映を牛耳る「ジストシネマ」とは何なのか

前編はこちら

2023/12/30(土)

和歌山市のビジネスホテルにて5時起床。変な関西ローカルの番組でもやってないかなとTVをつけたら、倖田來未とピコ太郎が半分素人のTikTokを見るだけの番組をやっていた。満足。

ザ・ビジネスホテルのザ・バイキング朝食

さて、和歌山の旅・2日目だが、特に何も予定を立てていない。ドラクエウォーク絡みのところに行こうかとぼんやりと考えていたが、金剛峯寺も那智の滝もアドベンチャーワールドも和歌山市からだと遠くて帰ってこれなくなるので、近いところで道成寺に行ってみることにした。安珍・清姫の伝説で知られる、あの寺。和歌山市駅から電車で1時間ほどで到着。安珍・清姫の伝説を簡単に説明すると、激ヤバな女に勝手に惚れられて付きまとわれた挙句、逆恨みで生きたまま火炙りにされる男の話です。

じわじわと面白い
そんなに大きな寺ではない

道成寺は750円の拝観料で中に入れる。お坊さんの説明を聞いて、でかい千手観音を見てと、ゆっくりしていけば、おおよそ1時間は潰せる。安珍が逃げ込んだ鐘が残っていないのは残念(炭化した安珍と一緒に埋められたらしい)だが、歌舞伎のセットとして使用されていたハリボテの鐘はある。建物内は撮影禁止なのでここには写真が載せられないが。なお、参拝では「嫌いなやつらがみんな黒焦げになりますように」と願ったが、よく考えたら道成寺に祀られているのは清姫ではなかった。

この木の下に例の鐘が埋まっていることになっている

参道の土産物屋で売っているのが、釣鐘まんじゅうとか釣鐘せんべいとかで、とにかくやたらと釣鐘推しだった。道成寺の釣鐘って拷問器具みたいなものなのに、それでいいのだろうか。「ファラリスの牡牛まんじゅう」と意味は変わらない気がするが。

「漆黒の釣鐘BLACK」
こんなん買うに決まっているでしょう

そんなこんなで道成寺を満喫したあと。一旦、電車で和歌山市駅まで戻って、そこから40分ほど歩いてジストシネマ和歌山へ。
前編で触れたように、和歌山県の映画館事情は極めて特殊で、ジストシネマという謎のシネコンに県全体が牛耳られている。その秘密の一端を掴もうと勇んでやってきたのだが、なんかごく普通のシネコンでしかない。独特と言えるのは、コンセッションでミニパンケーキを売っていることくらいか。一見さんに勘付かれるほど脇は甘くないということなのだろう。

ごくごく普通の、ショッピングモールの一角にあるシネコン
カップホルダーではなく、小さなテーブルが備えつけられている。
ていうか座面が汚い。


【邦画ドキュメンタリー新作】『僕が宇宙に行った理由』平野陽三監督

そんなわけで、なぜか和歌山でこれを観た。客がボクひとりだった。知らない土地でひとり、前澤友作と対峙する2時間。稀有だけど誰からも羨ましがられない体験である。
この映画、何に驚くって、前澤友作が結局なんで宇宙に行ったのか最後までよくわからないのである。終盤で急に薄い世界平和みたいなことを言い出してきて、それが理由ですみたいな感じにしていたけど、なぜ宇宙に行くと世界平和になるのかは皆目不明だし。まあ、宇宙に行くための実際のトレーニング風景が見られたので、それだけで満足。『007』にも出てきたグルグル回って遠心力に耐えるやつとかもあったし。笑ったのは宇宙に行けるかどうかの審査で、最初は3人全員(予備の人を含む)が不合格だったのだが、無重力では危険だからと歯を5本も抜いていた人がいる一方、前澤友作には「もっと体力をつけろ」とエアロバイクを勧められていただけだった。宇宙に行った理由は不明だが、宇宙に行けない理由は運動不足だと判明。この、どれだけ壮大なものであろうと極端にスケールを小さくしてしまうのが、前澤友作の才能なのかもしれない。

そんなこんなで、前澤さんが宇宙に行った理由は謎のまま、映画は終わり、和歌山市駅から新大阪まで移動する。この時点で午後6時くらい。年末年始は新幹線「のぞみ」が指定席のみになり溢れた乗客で駅が阿鼻叫喚になっているとの噂を聞いていたので、場合によっては大阪で1泊するつもりだったが、難なく東京行きの座席が取れた。良かったけど、なんか肩透かし。

新大阪駅でいつも食べるやつ

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