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【短文レビュー/邦画新作】『ファーストキス 1ST KISS』・・・こんなエゴイズムを愛と呼ぶのなら、そんなものとは無縁に生きたい

トップ画像:(C)2025「1ST KISS」製作委員会

監督:塚原あゆ子/脚本:坂元裕二
配給:東宝/上映時間:124分/公開:2025年2月7日
出演:松たか子、松村北斗、吉岡里帆、森七菜、YOU、竹原ピストル、松田大輔、和田雅成、鈴木慶一、神野三鈴、リリー・フランキー

タイムリープ理論については考えれば考えるほどドツボにハマるので一旦無視する(しかし、あのラストシーンの後にトンネル崩落事故が起きるんだよなあ。ということは・・・)として、ただ夫が助かることだけに執着し、赤ちゃんが線路に落ちないようにしようと微塵も思い付かないのは怖い。もちろん、脚本の坂本裕二はそこまで意図しているのであり、だから夫のほうから赤ちゃんの安否を尋ねさせているのだろう。ただひとりの特別な存在のためなら他のすべてはどうなってもいいとする究極のエゴイズムを愛と呼ぶのなら、そんなものとは無縁に生きたいが、実際には多くの人たちはエゴとは気づかぬままに愛を謳歌しているのだろうか。本作は、そんな世界の真実を何重もの奇麗なオブラートで包んだうえで看過している。

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