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火事こわい。
平和な夜を乱す、音。
ちょうど「ジョンウィック:パラベラム」を観ていた時のこと。
遠くからサイレンの音が聞こえた気がして、動画を止めた。
画面の右下に現れた小さな時計は、2:21を表示していた。
なんとなく「惜しい!」と思いつつ、聞き耳を立てる。
確かにサイレンが鳴っている。それも、結構な数。
「うわー、火事怖いなー。」
なんて、暢気にまた動画を再生した。
けど・・・。
なんか、サイレンの音どんどんおっきくなってない??
近付いて来てない!?
ワンワン吠える犬をなだめ、パーカー羽織ってドア開けてみて驚いた。
空が燃えてる。木とかアルミとかプラスティックとか、なんでもかんでもごちゃ混ぜにして焼いてる臭いがする。
んんっ??
なんか、パチパチ爆ぜるような音まで聞こえて来るぞ!?
これが火事場のクソ力というやつか。
そこから私は、サイボーグ009くらい素早く動いた。
オロオロする愛犬二頭に「ハウス!」を指示。まずは3Dで逃げ回る厄介な猫から確保しなければならない。
幸いにしてチャビは猫ちぐらで微睡んでいたので、出てこられる前に入り口を手のひらで防ぎ、そのままクレートに押し込んだ。
次はめい。
「ヒャン!」と大袈裟な悲鳴を上げられながらも、右手で掬い上げるように確保してクレートへ。最後のころんはパーカーの前を閉めて懐にしまう。
胸にころん、両手にクレートを持って玄関。
車(カローラフィールダー)のバックドアを開けてクレートを積み、ころんを車に取り付け済みのリードに繋ぎ直して一旦室内へ。
ファンヒーター、エアコンを止める。ガスの元栓確認。非常持出リュックに財布とスマホを持って、懐中電灯付けたらメインブレーカーを落とす。
途端に広がる闇。開け放したままのドアを見ると、赤い夜空に照らし出された車のシルエットがはっきりと見えた。
この瞬間に備え、左目は009になった瞬間に閉じている。こうすることで片目だけでも暗順応は完了しているから、懐中電灯で十分に周囲が見える。
ドアを施錠し、車に乗り込んで火事場とは反対方向の出口から出るために庭先で車を転回させ、ゆっくりと走り出す。
気持ちは急くが、こういうときこそ「ゆっくり」だ。
ゆっくりはスムーズ。
スムーズは速い。
大きい道路に出たところで、車の時計を見る。
2:32。ここまでで11分。
家から300mほど離れたコンビニの駐車場で、消防署の出動情報ダイヤルに掛けてみる。火事現場の住所は2ブロック先だった。今夜は強風というほどでもないし、風向も逆だから類焼の可能性はほとんどないだろう。
ここからは、火元の無事と消防署員の活躍を祈る他ない。
さて、駐車場を借りた以上、仁義は通さなくてはならない。
私はコンビニでペットボトルの水、犬、猫用のおやつ、バランスバー数本と最後に抽出するタイプのコーヒーを買った。
「ふぅ・・・。」
淹れたてのコーヒーの香りに、軽い頭痛とともにアドレナリンが引いていくのがわかる。この状態にカフェイン入れたら頭痛がひどくなるのも知ってるけど、それより今はコーヒーを味わいたい。
採点と教訓。
大前提として、愛娘たちも無事に連れ出して安全圏に避難することができている時点で100点満点。
ではあるんですが、いろいろ減点があったので、それを今後の教訓に。
愛娘たちについては、下記記事をご参照下さいませ。
手相が増えていた
カッコ悪いので隠してましたが、コンビニで手が血だらけなのに気が付きました。どうやら猫ちぐらの入り口を塞いだ時に、しっかりチャビにやられていたらしく、手相が三本ほど増えてましたw
書いてませんが、治療してハンドルその他に付いた血を拭いてから買い物に行きました。
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これはもう「ー30点」ですね。
怪我したらダメです。
今後はあらゆる行動の前に「グローブを付ける」を行うようにします。
ご近所さんへの声掛け
完全に自分のことしか考えてませんでした。
ご近所さんは私の避難当時、真っ暗にして寝静まっていたので、朝のニュースで初めて近くで火事があったことを知ったでしょう。
近所に高齢者世帯が多いことを考えれば、配慮が足らなかったと言わざるを得ないです。
「ー10点」。
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情報取得の遅さ
「避難第一」なので、これは減点対象ではないんですが、雰囲気に飲まれて情報取得が遅れたのは検討事項です。
冷静に状況を見極められていれば、避難は一旦置いて初動の消火活動に携わるべき火事だったかも知れません。
この辺りは判断が難しいところですが、避難準備が整ったところで状況をもう一度確認する心の余裕があれば、なお良かった。
火事は全てを持っていく。
泥棒は家までは盗んでいきませんが、火事は家ごと全てを奪い去る貪欲な災害です。
冬場は暖房で火の気が多くなり、また乾燥や強風という、被害を拡大させる要因もある季節ですから、お互いに気を付けて参りましょう。
最終的に火事は「けが人なしの半焼」で鎮火したようです。
原因は「洗濯物がストーブに落ちたため」と報道されていました。
類焼はなかったのですが付近は水浸しになり、焦げたような臭いは未だに家の中にまで入り込んできます。一部停電になったところもあったそうで、半焼とは言え、近所の方々を含め生活に与えた影響は大きいものがありますよね…。
やっぱり、火事こわい。
というわけで、結局帰宅したのはすっかり明るくなってからで、今日の日中はほとんど寝て過ごし、夕方になってようやく起きたような感じですw
さて、いつもの時間に眠りに就くことができるのか、一抹の不安を抱えつつ今夜はこの辺で。
おやすみなさい。
良い夢が見られますように✨✨✨
豆知識と言う名の蛇足
「事件事故」と「火事」のサイレンには違いがあります。
地域差があるので一概に言えませんが、火事の場合には「カンカン」と言う音が混ざります。
また、パトカーのサイレンはおよそ「4秒間隔」、消防のサイレンは「6秒あるいは8秒間隔」が多いようです。
救急車は「ピーポー」なので聞き間違えがありませんが、パトカーと消防車は同じ「ウーウー」ですからね。
こうしたサイレン音の「聞き分け」ができると、いざと言う時の対処の仕方にも役立つかも知れませんよ!
2025.0:43 追記
記事を投稿してから大船渡での大きな火災のニュースに気が付き、タイトルと内容を訂正させていただきました。
現時点で84棟が消失する大きな災害となっていようです。一刻も早い鎮火と皆様の無事をお祈りします。
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