奥の細道(一分で読める小説)
芭蕉は、いま悩んでいた。
自らの希望で全国巡る旅に出たのであるが、
目的地に辿り着く迄に多くの困難が待ち受けていた。
今までは、彼の長年培ってきた努力と忍耐と
並外れた体力で全てを乗り越えてきた。
だが、今回は違った。
芭蕉は、悩みに悩む。
…こんな事では目的地に行けない、
だからと言って、神にも頼れない
私自身が決断し選ばなければならない…
芭蕉は、天を仰ぐ。
頬に当たるは熱い風。
額には汗が滲む。
青空に広がるは、入道雲。
はるか遠くには、青ざめた山々。
そして芭蕉の目の前に映るは
何本にも分かれた道
「多くの細道」
「どの道を行けばいいんだ!」