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可笑しなお菓子(4)(ユニシロシリーズ)
その夜松原千恵子は、自宅でもの想いに沈んでいた。
自分の作ったお菓子が効力があるのかどうかが、
自分では判断出来ないのだ。
店主では、本当に気分が高揚し楽しい気分になったのかは、
解らない。
いつもあの調子だから判らない。
このお菓子が本当に効用があるのであれば、
間違いなく売れる。
と、松原千恵子は考えていた。
…このお菓子を食べて今日は、いつもとは違う感じだった。
きっと、このお菓子を食べたからだ。…
と、松原千恵子の中では結論は出ていたのだが、
もっと実験結果を見ないとお菓子を売る事は出来ない。
想い悩む松原千恵子の横で寝ているのは、老婆。
老婆に以前から寝ていたベッドを
奪われてしまった千恵子。
その老婆の名前も松原千恵子。
そう、魔法瓶で造った松原千恵子のクローン人間。
赤ちゃんで産まれてくる事を期待していたのに、
魔法瓶からは、老婆の松原千恵子が出て来たのだ。
それ以後、松原千恵子はその老婆と暮らし介護の世話をしている。
…呑気な人ね。私がこんなに悩んでいるのに。
そうだ、この人にこのお菓子を食べさたら!…
と、心の声が聞こえてくる。
[思い立ったが吉日]と言う諺がある。
松原千恵子は老婆の松原千恵子を起こし、
そのお菓子を食べさせた。
老婆の松原千恵子は、美味しそうに食べているが、
食べて直ぐにまた、眠ってしまった。
「仕方ない、明日の朝まで待つか」
と、やるせない松原千恵子だった。
続く