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Photo by
_fuwamai_
可笑しなお菓子(3)(ユニシロシリーズ)
松原千恵子は言うのを戸惑っていたのは、
このお菓子を作るには、魔女から購入した[魔法瓶]
の、存在を店主に伝えなければならない。
この魔法瓶の存在を言ってしまったら、強欲な店主の事だ
『魔女に言ってもっと作って、販売しよう』
と、言うのが目にみえる。
これは、松原千恵子の本意では無かった。
一瞬考慮した結果彼女はこの様に言った。
「魔法使いの叔母さんが、作ってくれたので・・」
と、笑顔で応えて見せた。
「・・・き・君。・・君の笑顔を初めて見たよ。・・・・
どんなお菓子だ?そんなお菓子なら僕も食べてみるよ」
と、驚きを隠せ無いのか、店主の言葉は重く弾んでいる。
店主はお菓子を手に取り眺め
「見た目は前と変わらないな〜。普通のクッキーだ。
明るい気持ちになれたら良いよ。
僕っていつも暗いから」
と、誰に言っているのだろうか?
クッキーに語り掛けながら、店主は
[可笑しなお菓子]を一口かじった。
「う〜ん、マンダム」
と、いつものように言葉で上手く表せない感動は、
この言葉を用いてくる。
(この「う〜んマンダム」のセリフは昭和時代の産物。)
「美味しいけど、何も嬉しくはない。」
と、不満そうに言うが、まだ、ひとかじりしただけだ。
「店主、全部食べないと駄目ですよ」
と、促され今度は一口で頬張る店主。
「何も変わらないぞ」
と、威張っ言い方。
「そんなに直ぐに効果はないでしょう」
と、松原千恵子は店主を馬鹿にした目でみる
そして5分が経つ頃に、店主のテンションが上がりだす。
だが、それはいつもの事。
お客様の前では、テンション高めでお客様を迎え入れる。
その芸当は誰にも真似は出来ない。
果たしてこのお菓子の効用は有ったのか判らずに、
時間は過ぎて行った。