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【すっぱいチェリーたち🍒】〜Blueを音に乗せて〜スピンオフ 八木風歌 

企画概要

プロローグ

前回までの話は、こちらから。

そうあれから数日経ったいつの日か。

なんだか一人で弾き語りをしたくて。
友美とのレッスンが終わってから
日の沈んだ薄暗い音楽室で、
一人ピアノに向かう日が増えていた。

ある日は、大門寺ナナコちゃんが友美のレッスンを終えた私に楽譜を返しにきてくれた。そのときに、「今Da-iCEが私の中できててさー、花村想太にハマってんだよねー」と立ち話をした。立て続けに、「しかも今年紅白でるって言っててさー、ほんと嬉しくてー!」と何気ない話をしてみた。

ナナコちゃんとは学校で唯一本気の音楽の話ができる仲なのだ。それ以外の話は、できない、と勝手に思っていた。

しかし、先日のクッマでの千代子と寿嘉美と友美と哲子の3時間を乗り越えてすこしすっきりしたのか、思い切ってナナコちゃんにも話してみようと思った。

「私さ、実は。。ヨメン君が好きなんだ。文化祭のダンスタイムに曲を流してもらおうかとおもって今作ってて今制作途中」

と矢継ぎ早に伝えてみた。

そんな話をナナコちゃんに私から恋愛の話をするのは初めてで、なんだか急な話でポカンとさせてしまった。

そして言ってしまった恥ずかしさに
耐えられなくなったわたしは、
ナナコちゃんの返答を待たずに、
「じゃぁね!またね!」と
ヨメン様に直接告白したわけでもないのに、
なんだか恥ずかしくなってその場を走り、
立ち去ってしまった。

また逃げてしまった。

盛男の何度も告白できるメンタルが欲しいと心から思っている。わたしは、ついついフラれることも考えるとどうも一歩踏み出せないのだ。

そう、わたしはイケメン好きだが、
極度の恋愛下手。
うまく男の子とコミュケーションが取れないのだ。
なんとかそんな自分から一歩踏み出したい、そんな想いでいっぱいだった。

ある日は、ヨメン様の曲を練習していると、
珍しく彩子が音楽室を通りかかった。

少し神妙な顔でわたしが弾いている音楽室に1人入ってきて、聴いてくれていた。

わたしはこうやって音楽室にフラッと入ってきて、時折いろんな人間模様や、悩みなどを少し聴いて、みんなが少しだけ笑顔になって帰ってくれるのが嬉しかったりする。

演奏終わりに、ヨメン一家の複雑なストーリーを聴かせてもらった。

わたしはヨメン様のことももちろん大好きだけど、ヨメン一家を応援したい気持ちでいっぱいになった。

✨ヨメン様への想い
✨私のことをいつも支えてくれる友へ
✨ヨメン一家の過去のBlue
✨誰にでも過去に置き忘れてきた心の中のBlue
そんなBlueから一歩踏み出して
好きということを伝えてみてどうかな?というメッセージの曲。

しかし当日を迎える数日前、
わたしは千代子と壽嘉美に相談をしていた。

やっぱり文化祭では歌えないかもしれない。

数日前に緊張して吐きそうで、
泣きそうだったのだ。

そう、さすがに怖気づいたのだ。


あんな大人数の前でそもそも急には歌えなさそう。。

涙がこぼれそうになるくらい、震えそうな声出して相談する私をみて、「じゃあさ、音楽室に呼び出してみたらどう?私たちも手伝うからさ」と。2人。

それならできるかもしれない。

そう想ったわたしは、
弾き語りの練習を続け、
ラスト数日を練習に費やした。

そして、当日。

あの伝説のあの4人のミスチェリの演奏が終わり、みんな余韻に浸るように学校を後にしていた。すごい盛り上がりだったのだ。

そんな盛り上がりの中、文化祭LIVEがおわってしまい、呆然としていた私の手をひき、
友美と哲子もかけつけ、千代子と寿嘉美で、
ヨメン様を引き留めてくれていた。

「ねーねー、ちょっとさぁ、風歌が聴かせたい歌があるっていうから、ヨメン君、音楽室にちょっとだけ寄れる?!?!」

「いいけど、、、(何だかよくわからないノリだなぁ)」

そんな微妙な反応を示しながら、ヨメン様を音楽室に連れ行く。なぜか途中、
千代子と壽賀美とははぐれたが、

移動中には体育館裏で、
ミスチェリ騒動が巻き起こっていたようだ。ミスチェリ、青春。

千代子と壽賀美はスケバン刑事のような強さもあるんだけど、それ以上に優しさと愛にあふれている2人なのだ。
 
わたしが中学のとき、
少しコミュケーション不足でいじめられてる時期があった。
でも強く優しく守ってくれて今の関係性が続いている。

だから、感謝してるんだ。

そして、いざ音楽室へ。

すごく緊張していたけど、
やっぱり気持ちだけは伝えたい。

そんな想いで、ピアノと歌で伝えた。


私から溢れ出すBlue
少し震えるBlue
好きを声に出していいんだよ

素直になるのが怖くて
いつも勇気がだせなくて
ほんとの想いに蓋して
勝手に諦めてきたの

淡く 切なく 広がる Blue
ブルーレースのようなBlue
まだらなBlue
涙流して強がるBlue
あの日の私のBlue
今、Blueを解き放て、届け

意欲と時間は反比例
密かに書き留めてくフレーズ
乾いた指先が触れる
鍵盤から踊るメロディ

遊び楽しく広がる Blue
ワタアメのようなBlue 
ふわふわなBlue
私から溢れ出すBlue
少し震えるBlue
好きを声に出していいんだよ

創造して 向き合って
歌っては 壊して
くじけそうになるけど
ゼロからになっても大丈夫
今は1人じゃない
背中押してくれる
信じてくれるから
また愛してみたくなった

私のBlue 歌詞

演奏終わりに、

「いきなり音楽室に呼び出して、ごめんね🙏わたし、ずっとヨメン君の事が好きだったんだ。でも人に告白するのも初めてで。ほんとは文化祭のクラブタイムに曲を流してもらおうかなぁと思ってたんだけど、
そんな勇気もなくて、緊張してしまうから、今日はみんなに無理言って、いつもの音楽室で、自分が素直になれる歌を作ってみたの。急な事で驚かせてごめんね。」

そんな事を言っていたと思う。

するとヨメン様は優しく
「好きとか嫌いとか、まだ自分の感情が整理しきれないけど、素敵な曲だと思ったよ。だから、お友達からどう?」

と言ってくれた。

私は逃げずに、
にっこり笑うことができた。

すると音楽室の少し遠くの方から、

コツコツコツ。パチパチパチ。

何やら足音が近づいてくる。

そう、ヨメンパパの登場だ。

軽く拍手をしながらこちらに向かって歩いてきた。

どうやら文化祭にくるという噂は本当だったようだ。

彩子と先日少し話したときに、粋な計らいをお父さんにしてくれていたようだった。

しかし終わってもなかなか帰らないヨメン様のあとをつけてきたらしい。

「you、なかなか面白いねー。次の僕主催のバンドフェス参加しない?」

「、、、バンドフェスですか?!?!」

そう、わたしはフェスという単語が好きなようだ。

以前盛男にもフェスに誘われた事がある。

なぜか私の周りはお祭り男が集まってくるのだ。

そしてこれが
わたしの音楽人生が始まる一歩となった。

おわり。

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