朝乃山の処分と世相の関係
昨日は朝乃山の処分が理事会でどう裁かれるか心配になって、一日中落ち着かなかった。尾車親方の主宰するコンプライアンス委員会の申告を受けて、八角理事長と理事会の決定が、ずいぶん遅い時刻に発表となった。6場所の謹慎と予想以上の厳罰だった。自分の予想では4場所だったので、少なからず衝撃だった。三段目への陥落は確実とのこと。角界と観客そのものに感染の危険を与えた行為と虚言ゆえ、規律の緩みを糺すためにもやむを得ない措置だろう。ただ懸念されていた解雇や引退勧告を免れたことは何よりだった。まだ27歳の精鋭にして、やり直せないこともないだろう。発覚から決定まで3週間と長かったので、ずいぶんとプレッシャーだったはず。
今回の処罰で気になった点が二つ。一つは神楽坂に同行したスポーツニッポン記者の諭旨解雇処分。おそらく同行したというより、朝乃山を自ら連れて行って、タカリ続けていたことだろう。番記者はこのような行為を常態としているなら、恥ずべきことである。今朝買ってきたスポーツニッポン紙では裏一面に、弁護士調査と処分内容の詳細が報告されていたことが、せめてもの自浄作用として救いであった。もう一点は元朝潮の錦島親方の退職。当初は弟子の不祥事に伴う引責辞任かと思ったが、自らも非常事態宣言中に朝乃山をはじめとして、家族と弟子を連れて会食を繰り返していたことが原因とのこと。朝乃山の事件が発覚した際に「このような指導をした覚えがない」と非難していたのは何だったのだろう。退職そのものも処罰逃れの印象を否めない。錦島親方の習慣と意識が、弟子の朝乃山の行為を助長したと日本相撲協会も断じている。
アメ横に食事に出たら、あちこちの居酒屋でアルコールを堂々と出していた。もう飲食店を政府も東京都も抑えきれていない。そして取り締まる気もないようだ。このような矛盾を、アメ横の立ち飲み店「カドクラ」は悲憤慷慨した貼り紙で「それでもわれわれは安全のために休業を続ける」と訴えている。アメ横もコントロールできない政府と東京都が、IOC関係者や選手たちを完全に抑制してオリンピックを運営できるとはとても思えない。その意味で行政も角界も掛け声と実態が乖離していることを実感する光景だった。