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六道慧「公儀鬼役御膳帳 連理の枝」

六道慧「公儀鬼役御膳帳 連理の枝(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
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 隼之助は、将軍の毒味役をつとめる御膳奉行を務める木藤家の次男。前作の「公儀鬼役御膳帳」が「塩を制するものは天下を制す」だったのに対して、第二作のモチーフは「砂糖」である。幕政も末期に近づき、外様大藩の動きも抜け荷、密貿易と次第にきな臭くなる。世の中を動かす調味料を巡って、幕府と大藩が虚々実々の駆け引き。それが時には「野太刀示現流」の達人を交えて小戦となる。砂糖紛争をめぐっておこる連続辻斬り事件を軸に、兄・弥之助との鬼役継承争い、「だるま屋」での人助け、許されない立場の波留との恋など人情話が交差する。前作でいい味出していた塩問屋の隠居・金吾が、闇師頭領として活躍しそうで、結局あまり出てこなかったのが物足りなかった。
 「連理の枝」は、白居易の詩『長恨歌』の「天に在らば願はくは比翼の鳥、地に在らば願はくは連理の枝とならん」に謳われた、契りの深い夫婦を例えていう。ここでは主人公・隼之助と慕い合う水嶋波留(名前からついつい女優の波瑠を思い浮かべてしまう)。物語の中では、思えば物語の中には「連理の枝」が数多く登場する。饅頭屋「相生堂」にある黒松赤松の盆栽「相生の松」も「連理の枝」に例えられている。親友の雪也や将右衛門だってそうだし、何より御膳奉行の父・多聞こそ隼之助の「連理の枝」である。
 ところで、実はあとがきで著者が女性であることを知ってビックリ‼️


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