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シブ5時相撲部「大波三兄弟」

3月12日に放送されたNHK「シブ5時相撲部」の特集は宝富士関と大波三兄弟。宝富士関はさることながら、大波三兄弟の放送についてはレポートしたい。大波三兄弟とは、苗字が大波である、長男の若隆元(幕下)、次男の若元春(十両)、三男の若隆景(幕内)の兄弟三力士。祖父も父親も力士で、父親は引退後に福島市でちゃんこ料理屋「若葉山」を経営している。そして3.11東日本大震災に加えて東電福島第1原発事故。絶望した親子を救ったのが当時の荒汐親方(元大豊)。長男の若隆元が入門していた部屋だったが、次男坊三男坊にも荒汐部屋への避難を呼びかけた。父親の大波政司さんは、子供たちを放射能から逃せたことを深く感謝していた。そしてその後、次男三男とも学校卒業後に荒汐部屋に入門。入門後の荒汐部屋は福島県慰問を繰り返し、三兄弟も郷里の復興支援に携わることができた。それも当時の荒汐親方の度量である。
 もう一つ元荒汐親方の功績を挙げるならば、蒼国来の保護である。2011年に勃発した八百長問題で角界を追放された蒼国来は、これを事実無根として東京地裁に地位回復を提訴した。この裁判には2年半を必要としたが、荒汐親方はこの間ずっと蒼国来を部屋に置いていたのである。日本相撲協会から解雇された力士を部屋に匿う。親方に対して、日本相撲協会からの軋轢がないわけがない。それでも弟子を信じて守り抜いた荒汐親方。裁判で勝訴した蒼国来は、奇跡の角界復帰。再び7年間も関取を務め、幕内で最高位の更新するまで活躍した。引退後は定年となった荒汐親方の年寄名跡を継いで、荒汐部屋を継承した。弟子を守るとはこのような行為である。そのことを誰よりも、身を以って感じているのは、現荒汐親方である元蒼国来であろう。

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