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映画「私をくいとめて」

映画「私をくいとめて」。監督は大九明子。原作は綿矢りさ。
 この映画を観に行った理由は二つ。第一に監督の前作「勝手にふるえてろ」が大変面白かったこと(原作も綿矢りさ)。女子の妄想という観点から、その本音を描いていた。そして主演の松岡茉優を、実物からはありえないくらい、さも平凡な女の子として、とっても魅力的に描いていた。もう一つは主演ののんを応援したかった。「あまちゃん」で大ブレイクした後に、事務所からの独立騒動で業界から干され続け。そりゃあ事務所としても立場があるのだろうけれど、じゃあ政治的配慮だけで、俳優の実力とかファンの支持とかはどうでもいいの?と言いたくなる。その干され方があまりにひどくて憤慨していた。
 映画は恋愛ドラマ仕立てになっているが、実際は引きこもりからの独り立ち葛藤記。31歳お局OL黒田みつ子(のん)は、お一人様生活に慣れ切って充足した生活。そして脳内にAという別人格を抱えて、いつも相談相手になってもらっている。そんな彼女が、取引先で眉目秀麗な好青年である多田くん(林遣都)を好きになる。近所のコロッケ屋で出会ってから、みつ子の作った料理を貰いに来るようになる二つ歳下の多田くん。イタリアに嫁いだ唯一の友人である皐月(橋本愛)に呼ばれてローマに旅立ったみつ子。帰国してから同僚のノゾミ(臼田あさ美)からダブルデートに誘われる。二人きりになった時に、遂に多田くんから交際を申し込まれる。やがて一緒に旅行して同じ部屋で迎えた夜。しかし、みつ子は最後の一線を超えることにパニックになって、Aに助けを求めるが。。。
 やっぱり、のんは素晴らしい。国民的アイドルになっただけのキャラクター。愛らしいみつ子、引きこもったみつ子、性格の悪さ丸出しのみつ子、不安に打ちひしがれるみつ子。あらゆる多重人格というか、人間の持ついろいろな面を体現している。そして大九明子監督は、若き女性の震える心や屈折を印象的に、それでいて天から見守っているように描く。そして皐月を演じるのは「あまちゃん」で能年玲奈と親友を共演した橋本愛。これはのんの主役復帰への友情出演のプレゼント🎁。のんの表舞台への復帰を祝いたい。
https://kuitomete.jp

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