姉小路祐「再雇用警察官 究極の完全犯罪」
姉小路祐「再雇用警察官 究極の完全犯罪」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
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雇用延長された再雇用警察官・安治川信繁。熱血刑事だった経歴を買われて、新設の消息対応室に配属。昇給昇任とは無縁、退職金も無し、給料半減という条件なれど、長年培った勘と築き上げた広くて深い人脈で、いつの間にか事件捜査の最前線で重要な活躍をしてしまっていた。この物語の魅力は、安治川の犯人すら思いやる優しさ。完オチに至る語り口は、読んでいて労りを感じる。そこがこれまで生きてきた功徳と根気の積み重ね。人生百年時代、高橋英樹主演でテレビドラマ化される人気シリーズ最新刊。
1️⃣唯一の証明
・若くして成功したIT社長の妻、そして女子社員が同じ心不全で相次いで急死。事態に連続性を感じた安治川は、病死ではなく事件の匂いを嗅ぎとる。殺意と偶然が交錯して、複雑な事態が発生。結末を迎えて、いったい何が社会的成功なのかを改めて問うことに。
2️⃣二度の死亡
・上尾浩子から行方不明となった兄を探して欲しいと頼まれた安治川。結果的には大阪城公園のホームレスとなっていたが、またもや失踪。保険金詐欺、公金横領、パパ活ならぬママ活、遺産相続。欲に塗れた人間にも、何かの大義や愛はある。
3️⃣第三の判定
・行方不明になった娘の捜索を母親が依頼に来た。娘である早紀子は、売れっ子芸人のイシカンこと石貫勝晴の妻だった。水商売でイシカンの下積み時代を支えた早紀子は、馴染みの客がいた。嫉妬、不倫、復讐が生んだ生命科学の皮肉。驚天動地の結末。