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踊るっていうこと
熊谷崇氏の主宰する「903Dance Studio」による「注文の多い料理店ヨリ」を、同教室の芽生タンに誘われて「みどりアートパーク」で観てきた。ご存知、宮沢賢治の名作童話を下敷きに、オリジナルを加えたミュージカル。冒頭に4人の子供が出てきて『ゲッ、ガキのお遊戯か?』と思ったが、どの子も発声がしっかりしており、踊りの動きもしっかりしていた。その中でも中谷謙介くんは、劇団四季「ライオンキング」でヤングシンバを務めたメンバーとのこと。その後は、大人のダンサーたち10名が登場し、物語の進行に沿って、レベルの高いダンスを繰り広げていた。舞台のバックにも映像投射で、幻想的な雰囲気を醸し出していた。宮沢賢治「注文の多い料理店」の結末を忘れていたが、どうやら店を訪れたハンターたちは原作と同じく、山猫たちに食べられてはいないようだった。鹿を狩ろうとしていたハンターたちが、逆に山猫たちに狩られていたのは皮肉である。
https://www.903dance.com/舞台イベント告知-募集2020/
亡くなった私の伯母が、九州でバレエの教室を主宰していた。数々の賞を受賞していて、アジアではハイレベルな域に達していた。よく創作ダンスの発表会に招かれたが、何が面白いかさっぱりわからなかった。今でも理解しているとは言い難いのだが、ずっと伯母の教室のバレエを観てきたので、その踊りが一定のレベルに達しているかどうかは、観ればある程度はわかるようになった。昔は踊りは独立したスポーツの世界だった。しかし今は踊りは若い人たちにとって必須。TikTokなどを見ていると、女子高校生は上手い下手はともかく、みんな踊っている。自宅近所の空き地でも女子中学生たちが、ラジカセを真ん中に踊る練習に励んでいる。彼らの気持ちの中で、踊るっていうことは、非常にプライオリティが高い自己表現なのだ。