空想特撮映画「ブラックホールに願いを」(監督・渡邉聡)
空想特撮映画「ブラックホールに願いを」(監督・渡邉聡)を高円寺シアターバッカスで試写会鑑賞。
人工縮退研究所の伊勢田みゆきは、 緊張すると声が出なくなる 「場面緘黙症」という疾患を患って、職場で孤立していた。ある日みゆきは勇気を振り絞り、 同僚の吉住あおい博士(女優の吉見茉莉奈さんは吉瀬美智子さんのような爽やかで知的な雰囲気)に声をかける。 しかし直後に発生した、悪魔博士による人工ブラックホールを利用したテロ事件により、 吉住は時間の進行が極度に遅くなった加速器中央に取り残されてしまう。もし吉住を救助に行けば、数千、数万年の歳月が経過してしまう。そのとき、みゆきの選んだ行動は。
空想特撮映画と冠するだけあって「シン・ゴジラ」をオマージュした映画。音楽は鷺巣詩郎のノリ。ただ怪獣は登場せず、人工ブラックホールによる空間の時間遅滞現象が主題となっている。大がかりな装置は市原隼人主演だった「神様のパズル」を想起させた。主人公であるみゆきが、心の葛藤を乗り越えて、吉住と心を通わせるシーンには落涙した。友人はこのモチーフを「トップをねらえ2!」のオマージュと断言。ただブラックホールとビルの爆発に因果関係があるのか、悪魔博士の犯罪や殺害の動機の薄弱さは、脚本をより練り直した方がいいのではないかと思えた。
放映後、監督以下3名でトークセッションがあった。その中でこの映画の制作には7年を要したとのこと。しかも127分の長尺。100万円の助成金とクラウドファンディングで資金調達したものの、その数倍ものコストを投じたようだ。そしてこの日は30人規模の小劇場だったが、本格的な劇場公開の目処は
立っていないとのこと。『よくそんな見通しで映画なんか作ったな』と思ったが、完璧とは言えないまでも、充分に見応えのある映画に仕上がっている。人生は形にすること、足跡を残すことが大事。志のある若者たちが、日本にもいることは有意義なことである。
https://motion-gallery.net/projects/project_blackhole/updates/46065
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