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映画「相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜」

映画「相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜」(監督:坂田栄治)が劇場公開。元力士の漫画家である琴剣がナビゲーションを務める。内容はドキュメンタリー。境川部屋と高田川部屋の稽古や食事などの日常を追ったルポ。有名力士が出ている以外は地味な映画だが、巨体が激突する格闘技の厳しさと、努力と熱意だけが報われる世界を描いている。尚、都内の上映館は東中野ポレポレ坐と、錦糸町TOHO CINEMAの2館のみ。
https://sumodo-movie.jp/sp/
 境川部屋の主役は、まだ現役であった大関・豪栄道。ケガをしていても痛いと言わず、本場所ではテーピングすらしない。自分の弱みを見せない漢気に誰もが惚れる。豪栄道が後輩力士に伝えたいことは「我慢」である。部屋には妙義龍、佐田の海、豊響などの実力派関取が揃う。稽古量も充実しており、活気に満ちている。元小結・両国の境川親方は、力士を伸び伸び育てている。坂田栄治監督が部屋の全員を焼肉屋に連れて行ったら、36人で200人前以上食べて、支払いが80万円を超えたシーンには爆笑。俗に言う力士が大食漢であることを指す「エビスコ」である。
 高田川部屋の主役は竜電。結婚式を翌月に控えた場所に勝ち越しを目指す姿。美人の奥さままで登場し、取材中もずっとコロコロ笑っている竜電。しかし股関節の骨折の大ケガを乗り越え、人の何倍も稽古する努力の人。竜電が後輩力士に伝えたいことは「2年先を見ろ」。要は諦めるのが早過ぎるということだ。同じ部屋には輝がいる。高田川親方は元関脇・安芸乃島。史上最大の金星ゲッターである。土俵の鬼・初代若乃花の二子山部屋にいただけあって、厳しい稽古で有名。そんな親方は53歳にして、いまだに廻しを締めて土俵で力士を指導する。これは驚異的なことである。親しい阿夢露が「引退してから土俵に上がると、全く身体が動かない」と言っていたが、ふだんから自分の身体を鍛えているのだろう。

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