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北重人「火の闇 飴売り三左事件帖」

北重人の2作品を電子復刻。二作目は著者の遺作である「火の闇 飴売り三左事件帖」。土屋三左衛門は、武家のお家騒動に巻き込まれて脱藩。才色兼備の小紋と共に、神田三河町で飴売りをして暮らしている。そんな三左衛門による、五つの短編から構成されている捕物帖。儲けにも何にもなりもしないのに、人助けに奔走する三左衛門。そこには庶民の貧しさや悲哀に寄り添う人情が満ち満ちている。電子書籍版はこちら↓
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1️⃣観音のお辰
夜叉面と呼ばれた金貸しのお辰。それでいて艶があるいい女。しかし死病を患い、善行を積もうとする矢先に殺される。岡っ引きの挙げた無実の下手人を救うために三左が動く。
2️⃣唐辛子売り宗次
店を出すための借金を返すために、御家人の来三郎に抱かれて、入水自殺した女房のお由。その仇を取るために亭主の宗次は、剣豪の来三郎を付け狙う。宗次を止める三左だが。
3️⃣鳥笛の了五
三左に預けられた了五という素性の知れぬ男。飴売り見習いから、あっという間に一番の売れっ子に。しかし了五には、三左のいた河合田藩士たちから狙われる過去があった。
4️⃣佛のお円
女にうつつを抜かし、博打に手を出した鍵職人の勘助。娘のおちかのために、逃げた女房のおすみを戻そうと尽くす長屋のお円婆さん。しかし勘助は良からぬ連中から脅されていた。
5️⃣火の闇
河合田藩士だった三左衛門が飴売りとなった経緯が紐解かれる。江戸家老、国家老、藩主の叔父の三派に分かれる抗争。算勘の才を買われて勘定方に抜擢された道場の後輩である与十郎。しかし罪を着せられて切腹となり、与十郎は三左衛門に介錯と囲っていた小紋を頼む。

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