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東京五大
昨日の三大話の続きで東京クリティカル連合「東京五大」(垣内出版)という本が出ている。文中の★は行ったことのあるお店を示す。こちらは紙の本のみ↓
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4773410019/
タイトル通りに東京の五大○○を2016年に著した本である。この本を読もうとしたきっかけが江戸川橋「天仙」★を「東京五大天丼」と称した人がいて、その人に「他の四つは何処?」と訊いたところ「『土手の伊勢屋』★と・・・」。あとは答えるのが面倒だったのか「『東京五大』に出ている」との回答だった。もちろんSNSだから答える義務もないのだろうけれど「えーっ、『天仙』が五大天丼の一つ?」(もちろん「天仙」は美味しいお店ですが)という疑問があった。五大○○というのは、選者の恣意性に拠っているのだろう。しかし昨日挙げた「東京三大豆大福」などという表現は、かなり普遍性=大筋の合意を得ている。だから「五大○○」と記すなら「自分なりの五大○○」などと誤魔化すのではなく、それなりの客観性や説得力が要る。この本での「客観性」とは食レポに一定以上のレベルを持った3人の合議判定というところだろうか(3人とも知らない人だがそれなりの力量を持っている人なら、それはそれでありである)。ちなみにこの本が「五大天丼」と評した残り三つは人形町「天ぷら中山」★、築地「てんぷら黒川」、銀座「てんぷら天朝」である。なぜ浅草「大黒屋」★が入っていないのか、なぜ銀座「天國」★が入っていないのか。正直「土手の伊勢屋」以外の選定は首を捻る。
本書は冒頭でグラフィックデザイナーで居酒屋探訪家の太田和彦氏が命名した「東京三大煮込み」を「東京クリティカル連合」なる著者集団三名(フリーライター宮田十郎、フリーライター渡邊隆、作家の馬場啓一)が「五大」に弄ったことが出発点であるとしている。ちなみに「東京三大煮込み」は北千住「大はし」★、森下「山利喜」、月島「岸田屋」である。そして二つ加わった「東京五大煮込み」には門前仲町「大坂屋」、立石「宇ち多゛」★である。全部行ったわけでもないが、このチョイスは納得できなくもない。著者は選定の基準に以下五つを挙げている。①10年以上を東京で営業②東京が始源(本店など)③味だけでなく総合評価(歴史、サービス、コスパ)④東京らしさ、東京的な風合い⑤現存していなくても過去に東京的インパクトの記憶あり。正直④⑤はかなりファジーで曖昧である。もうちょっと数字に置き換える努力をすべきであろう。ただ『なるほどな』と思ったのは『三つ(三大)を選ぶ時は案外決着が早い。四つにしても簡単に仲間外れが出るだけで三つは盤石。ところが五つになると突然今までの安定感が嘘のように崩れだし、揺れ始める」というプロローグの一文。これはなんとなく『そうかもな』という気がする。