坂爪真吾『許せないがやめられない SNSで蔓延する「♯怒りの快楽」依存症』
坂爪真吾『許せないがやめられない SNSで蔓延する「♯怒りの快楽」依存症』(徳間書店)。SNSの炎上と集中砲火。SNSの普及で玉石混合のニュースが、ありとあらゆる人々から発信されるようになった。その火薬庫がtwitterである。最近で言えば、女子プロレスラーの木村花、ナイナイの岡村隆が話題となった。SNSを多用している自分にも切実なテーマなので一読。https://www.tokuma.jp/book/b516559.html
各章に耳慣れない言葉が頻出。いずれも自らを被害者とし、他人に対するSNSの怒りの表現を、麻薬のように常習する人々。男が許せないフェミハラ(フェミニストハラスメント)に端を発して、そこからミソジニスト(女性を嫌悪蔑視者)、ミサンドリ(男性嫌悪者)、インセル=不本意の禁欲主義者たち(女性にモテないことでミソジニスト化)などが派生する。SNSだけでなく、フェミハラなどは、日常リアルな生活でも跳梁跋扈を極めている。彼ら彼女たちは、加害者であっても自らを被害者と叫び、自分1人の八つ当たりを同性全体の怒りとして「私たち」と自称する。
そこからの脱出は、怒りからソーシャルディスタンスを取ること。そして対人関係の構築。人を傷つける「無限刃」から、そのような憎しみを断ち切る「逆刃刀」への発想転換を求める。著者は、東大「上野千鶴子ゼミ」門下のフェミニスト。障害者の性問題解決を図る非営利組織「ホワイトハンズ」障害者の性問題解決、風俗店で働く女性の法律相談「風テラス」などを運営。それにしても、モテる、モテないって、そこまで人生に影響を与えるものかと。これも動物としての人間の根底かもしれない。章立ては以下の通り。
①第1章 女が許せない〜ミソジニストたちの動き
②第2章 男が許せない〜フェミハラたちの動き
③第3章 LGVTが許せない〜LGVとTの対立
④第4章 性表現(規制)が許せない〜性差別攻撃者vs表現の自由派
⑤第5章ジェンダー依存がやめられない〜セックスワーカー(風俗営業)論議の是非
⑥第6章 無限刃から逆刃刀へ〜憎悪の応酬からの脱却
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