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趙将「李牧」の魅力

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 宜安の戦いで、六大将の桓騎を喪った秦軍。捲土重来を期して、王翦将軍を総大将として、趙北部に25万の大軍で攻め込む。副将軍は山の民を率いる楊端和。李信(飛信)も左翼で3万を率いる要となった、対する趙軍は決死の覚悟で30万で迎え討つ。戦場は宜安かと思われていたが、その手前にある番吾となった。意表を突いたつもりの王翦だったが、趙の知将・李牧は番吾にも罠を仕掛けていた。
 この巻でも光るのは敵将・李牧の魅力。中華統一で牙を研ぐ秦軍をまさに翻弄する。勢いの良い亜光将軍も、飛信も敵の意図が読めていない。軍師の河了貂すら、李牧の誘いに乗っている。そこに違和感を感じているのは、楊端和と王賁くらい。変幻自在の李牧の戦略は、地の利を生かした強み。そこが総攻撃と言っても、遠征の秦軍と、背水の陣の趙軍の違い。
 前巻で李信(飛信)が羌瘣に求婚したが、この巻では李牧が人としての魅力を見せる。諸国の王族貴族の姫君との縁談が数多来る中で、ずっと側近として仕えた女将カイネへの愛を、馬南慈将軍に開陳する。それを扉の向こうで聴いていたカイネの涙。李牧が軍人としてだけでなく、人間として素晴らしい魅力に満ちていることが伝わってくる。

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