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和久田正明「地獄の清掃人」

9月8日 テレビ体操再開8回目、再開2469日目、通算3259日目。和久田正明「地獄の清掃人」(徳間文庫)。ハードボイルド小説のような題名だが、時代小説捕物帖である。個性豊かなキャラクターが登場して、期待に応える大活躍。そして二転三転の伏線がある、逆転のミステリー。物語の行間には、生きて行く宿命を語り、そこを埋める人情の機微が描かれている。
 火付け、盗賊、博打など、江戸の街の凶悪犯罪を取り締まる「盗賊火附改」。直臣旗本であるお頭・松平彦左衛門永図・50歳(以後、彦左)。懐深く、世の中の甘いも酸いも噛み分ける。同心・熊坂小吉は、剣は北辰一刀流の手練れで、性格は直情径行の正義感。血腥い犯行現場を、いつまでも血溜まりにしておくわけにもいかず、必ず団五郎が仕切る「清掃人」がやって来る。経師屋、畳屋などが現場を何もなかったように復旧してゆく。その中で、小夜・18歳が働いている。若い美形の女人、しかも美形に似合わぬ仕事に、熊坂は興味を持つ。絵馬屋から、彦左に拾われて、この世界に入ってきたと言う。しかしその理由は決して明かさぬ、憂いある謎を秘める。「地獄の清掃人」は四つの短編から構成されている。
①美魔女
・清掃人の紅一点、小夜の捕物デビュー戦。四谷御箪笥町、保土屋左兵衛の仕舞屋で、妾のお絹と女中のお糸が強盗に惨殺された。犯行は5〜6人組で、いつも女犯を繰り返す赤蝮の所業と目された。しかし小夜は、この事件は単純な強盗殺人ではなく、何か裏があると見る。清掃人を務めながら、彦左に見込まれた小夜の天才的な探偵眼。
②島破り
・深川越中島の塵芥処理場で、岩松が見つけた黒塗りの文箱、。そこには「浅草無宿丹右衛門島抜け」の書状が入っていた。三宅島に遠島された罪人が島抜けしたとの報告書であった。捕縛時に母親が心臓発作で死亡されたため、その恨みを買って、捕縛した定廻り同心・脇田小文吾が殺められた。しかし犯人であるはずの丹右衛門は遠島先で亡くなっていた。仕組まれた偽装殺人の真犯人は?
https://www.tokuma.jp/book/b528708.html
③女賊の嵐
三国屋十吉郎は下総国関宿で干鰯問屋を成功させた大商人。しかし役人との商談の宴席で、
手下三人を従えた、40代半ばの女賊・不知火に惨殺される。しかし不知火の息子である仙女屋半次郎は化粧品を売る紅屋を営む堅気の商人。20代半ばで成功した不知火の自慢の息子。しかし、名の知れた悪漢となった不知火は、息子に会うことができない。三国屋の事件の黒幕を追いつつ、彦左は不知火親子の情に心を配る。
④茶室の怪
・千利休の流れを組む一流茶人である丹阿弥宗室。その茶室で人死にが出る。公儀の仕事ではない清掃人仕事だったが、小夜は事件の匂いを嗅ぎつける。熊坂の助けを得て調べに入る。しかし捜査中に殴り倒されて昏倒し、一緒にいた宗室の娘であるお七を誘拐されてしまう。誘拐の解決を図る間に、名茶家内部の怨念や思惑が交錯する。

盗賊火附改、同心・熊坂小吉、差口奉公人・猪之吉、
お頭・松平彦左衛門永図・50歳、直臣旗本、
四谷御箪笥町、保土屋左兵衛、仕舞屋、妾のお絹、女中のお糸、惨殺強盗
清掃人、団五郎、経師屋、畳屋、
小夜・18歳、美形、絵馬屋、妹・お才、母・お房、義父・綱八、
赤蝮、5〜6人、女犯、

深川越中島、塵芥処理場、
岩松、黒塗りの文箱、
浅草無宿丹右衛門島抜け、三宅島、遠島、捕縛時に母親が心臓発作、死亡、

定廻り同心・脇田小文吾、
通旅籠町「丸屋」、辰巳芸者二人、
舎弟・五百吉
松五郎、
浪人・梅田典膳、南町奉行所赦帳撰要方人別調掛同心・小山田兵馬
小山田兵衛、

三国屋十吉郎、下総国関宿、干鰯問屋、
女賊、不知火、手下二人、40代半ば、
仙女屋半次郎、紅屋、化粧品、20代半ば、不知火の息子、
羅刹の世之介、人殺しの手配師、23歳、小文太、
下谷車坂、安楽寺、天海、

千利休の流れを組む一流茶人、丹阿弥宗室、茶室、人死に、佐吉、
お富、お七、誘拐、藤乃、浪人者、駕篭舁き、矢文、身代金、千両、

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