B級映画の快作「宮田バスターズ」
映画「宮田バスターズ(株)-大長編-」を鑑賞。場所は池袋シネマ・ロサ。インディーズの意欲作を集めたレイトショーだ。会場には監督や俳優も来てファン交流。こんなに映画を志す若者たちが多い日本も心強い。
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宇宙怪獣退治を専業とする「宮田バスターズ」という中小企業の姿を描く。未来の日本は宇宙怪獣に日常茶飯事的に襲撃を受けることになる。その現場に駆けつけて怪獣をガス噴射で退治するのが宮田バスターズの仕事。そこには働く者たちの誇りとチームワークがある。しかし怪獣退治にも技術革新の波が訪れ、専用部隊がいなくても、個々の家庭で退治できる新式の武器が登場。これによって宮田バスターズの存在意義が失われる。しかし急激な技術革新の先には、制御出来なくなる悪夢も待っていた。
そもそも怪獣映画が好き。「シン・ゴジラ」は劇場で3回観て、DVDも買った。「宮田バスターズ」は立派なB級映画。そっち方面も大好きで、河崎実監督の作品も仕事柄ずいぶん観た。宇宙怪獣の襲来なんてチャチな作り話っぽい。そんな設定を本気で信じる客はいない(ゴジラの実在を信じている人もいないだろうが)。それでもいいじゃないか、多少胡散くさくたって。何より熱意がある。
主演の宮田社長を演じる渡部直也には眼力がある。印象的な素晴らしい役者起用だ。志願して入社するユリ(大須みづほ)の熱い想い。合格時に喜んで橋の上を疾駆したスピード感と、その美しい光景。端正なマスクと背負った責任感で存在感が光るシバタ役の佐田淳。ほんわか癒し系の後方支援部隊のミヨシ役のユミコテラダンス。自由奔放な発明家のリンを演じる山本愛生。緊迫した場面で和ませるゆるキャラ・タンクくん。合理主義に溺れて、成功するも挫折感に陥るマエカワ(水野祐樹)とキムラ(吉見茉莉奈)。狂気の発明オタクであるシマバラをネクラに演じる瀬良大智。そしてデビュー当時からプチファンだった宮崎美子もとぼけた役で特別出演。監督・撮影・脚本・照明・編集・特殊造形は全て坂田敦哉。なんでもかんでも一人でやっているじゃないか。自らそう呼ぶDIY映画そのものである。でも変な助手ならいない方がいい。ひとりならチームワークも必要ない。だから結果として、最初は椅子の背もたれにもたれて観ていた観客が、映画が進むに連れてみんな身を乗り出して観ている。それが何よりの「宮田バスターズ」が面白い証拠である。笑いあり、涙あり、恐怖あり、挫折あり、感動あり。大人も子供も楽しめる映画だ。
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