原恭久「キングダム66」李牧の復活
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趙北部「宜安」に侵攻した秦の桓騎軍。しかしそれを迎え討つ李牧将軍の復活。趙で降伏した兵10万人を処刑した桓騎将軍から、自らの家族を守るように訴えた李牧に、趙軍は勇み返る。そして秦軍14万人を包み込んだ趙軍は31万人。圧倒的な兵力の差に動揺する秦軍。攻城戦ではなく、平地戦で正攻法で趙軍が押しまくる。当然のことながら崩壊寸前となる秦軍。丘から趙軍の布陣を見つめていた右翼の李信(飛信)は、左翼の楽華隊に火種を作る場所を見つける。突如持ち場を放棄して、一点突破を図る李信(飛信)と羌瘣。そして飛信隊の援護で楽華隊も趙軍の壁から外に抜け出る。ここまでは李牧の誤算。しかし李牧の狙いは、あくまで正攻法を苦手と見做した桓騎将軍本人。秦軍の本丸に向けて、圧倒的な兵力を差し向ける。それに対して桓騎軍本隊は、X型の先例のない陣形を組む。果たして桓騎将軍の真意は何か?
主人公李信(飛信)の敵ながら、高潔な人格の素晴らしさ、他を寄せつけない智略、見目麗しい容姿で、惚れ惚れとするキャラクターの李牧。一時期は趙王の嫉妬によって表舞台から遠ざかっていたが、秦との決戦に於いて、真打ち登場である。それも秦軍の裏をかいて、深謀遠慮による半年間の下準備を経て作り上げた罠に誘い込む。動揺は顔に見せない桓騎将軍だが、それは感情の起伏を見せないように配慮しているだけか、それとも李牧の罠を撃ち破る秘策があるのか。次巻にその行く末がどちらであるかの、虚々実々の駆け引きが興味深く待たれる。