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逼迫する年寄株問題
昨今の角界の問題点として、年寄株の不足が深刻である。ここしばらくでは豊ノ島、千代大龍、松鳳山、豊山、逸ノ城、栃ノ心などが引退後に角界に残れなかった。以前は大概の幕内力士が年寄襲名していたが、最近は
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ずっと厳しい状況になってきている。誰が年寄株を持っているかという点について「銀河大相撲協会」というサイトで言及している(信憑性はわからない)。
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http://shiverle.web.fc2.com/tosiyori/tosiyori_zaiseki.html
それによると現役力士で年寄株(全105株)を所有しているのは、遠藤と阿武咲だけ。そして所有はしていないが、借株によって親方となっているのは7人。特に琴勇輝だった北陣親方は、君ヶ浜を隠岐の海に返して、再び遠藤から借り株。遠藤が引退したら万事休すだ。鶴竜だって横綱特権で認められている横綱名年寄は5年間だから、2021年の引退だから猶予はあと3年。かくなる状況に大きく影響しているのは、定年後の再雇用制度。日本相撲協会は65歳定年であるが、その後5年間「参事」としての雇用延長を認めている。現在は8人が「参事」を務めている。
日本相撲協会は年寄を優遇している。中島隆信「大相撲の経済学」では、それを「大相撲互助会」と呼んでいる。年収は1,000万円以上で、退職金もシコタマ出ると聞いたことがある。だから年寄の人数は増やせない。限られたパイの分配が減るからである。このままではほとんどの有力力士たちが年寄名跡を取得できなくなる、これでは力士の人生の第二設計の見通しが立たないので、角界入りする力士がますます減るのではないかと懸念。大相撲は観る人は増えているが、やる人(力士)が減っている構造的課題に面している。何としてもこの状況を打破すべく、日本相撲協会はクラウドファンディングや投げ銭システムなど原資の増大手法を検討すべきだと思う。