愛すべく徳勝龍の引退
大相撲の元幕内で東幕下37枚目の徳勝龍(37・奈良県出身・木瀬部屋)が現役引退の意向を固めた。年寄「千田川」を襲名予定。徳勝龍は高知・明徳義塾高から近大を経て、2009年初場所で初土俵。2011年九州場所で新十両、2013年名古屋場所で新入幕となった。優勝1回。殊勲賞1回。敢闘賞1回。優勝翌場所の2020年春場所には、横綱鶴竜から唯一の金星を挙げた。突き、押しというより土俵際の突き落としが唯一の得意技。最高位は西前頭2枚目。
再入幕の2020年初場所は、西前頭17枚目の地位で幕尻優勝を果たした。まさかまさかの優勝だった徳勝龍。決まるまで、誰もそうなるとは思っていなかっただろう。いや自分自身すら思っていなかっただろう。優勝を決めた後の徳勝龍の人間味溢れる優勝インタビュー。「自分なんかが、優勝していいんでしょうか?」の名セリフを聴いて、会場は爆笑。一方で近大相撲部の恩師であった伊東勝人近大相撲部監督の急逝に嗚咽。優勝インタビュー後は、一気に人気爆発。愛すべきキャラクターであった。人は突如として化ける時があるものなのか。それがその場所優勝の徳勝龍。近大監督の伊東勝人氏が亡くなったことで発奮。今までの君は一体何だったんだ?と言いたくなるくらい。ちなみに相撲雑誌に載っていた奥さまの美しさに「美女と野獣」と揶揄う向きも笑えた。