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原泰久「キングダム73」、番吾の戦いで王翦ピンチ🆘

原泰久「キングダム73」(集英社)。電子版はこちら↓
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表紙
第二表紙


 秦の中華統一による各国の被害を大義に、争乱の範疇外にいた青歌を趙軍に加えた李牧。趙北部(李牧のお膝元)・番吾の戦いで、25万もの王翦軍を迎える。主人公の飛信隊は、李牧にうまく主戦場外に誘い出される。匈奴を滅亡させたほどの青歌軍。その間に王翦軍本隊をほぼ殲滅に追い込む。秦軍は何とか大将軍・王翦を脱出させるために、各部隊が自発的連携で救援に回る。そのため王翦側近の将軍たちは次々と犠牲になる。秦にとって、桓齮将軍を喪った宜安の戦いに続いての連続大敗であった。
 一方で青歌軍もジ・アガ将軍をはじめとして多くの兵を喪う。中華の平和のために李牧を助けた報いであった。果たしてそれは自国のための戦いであったのか、他人の戦いに巻き込まれたのか。私には後者のように思えてならない。秦軍の女傑・糸凌はジ・アガ将軍を討つ功績を挙げたが、戦場に倒れた。そして秦の倉央将軍による愛する女・糸凌にまつわるエピソード。これこそは、凄惨な戦さにおける、一服の清涼剤。青歌軍のカン・サロ大将軍の懐の深さに敬服。
 そして敗戦後に昌文君から嬴政に献策された、秦国を起死回生させる3つの改革。国や人の真価は追い込まれた時にこそ表れる。敗れた秦、勝った趙。どちらも違った危機を迎えて、これからいかに対処するか。歴史が教えてくれるからこそ、それが本作品でどう描かれてゆくか、楽しみに待ちたい。

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