見出し画像

岡田真弓「探偵の現場」

書影にある通り、依頼の77%が浮気調査とのこと。他には行方不明者の捜索、虐め調査、結婚詐欺疑惑、人物や会社の信用調査など。
 大岡越前の母親が、息子に「女性の性欲はいつまで?」と訊かれて、火鉢の灰を火箸でかき混ぜた有名な話がこの本にも出てくる。それだけ男女の仲は、永遠不変の老若男女共通のテーマ。そしてそれを左右するのは、心だけでも、身体だけでもない。「誰だって隙あらば浮気する」は俄かに信じ難いが、著者自身のフィールドワークによることで得心。紹介された事例は、驚天動地のケースから、読んでホノボノしみじみな物までバラエティに富んでいる。探偵入門の講習会を開いているということで、実際の尾行、証拠固め、協議交渉などのプロセスも明かされている(探偵ってすごく努力している)。
 この本が面白いのはデータが豊富なこと。グラフや図表がバンバン出てくる。昔は浮気調査の大半は女性からだった。経済的に豊かになる40代くらいから、こういう現象が起こり始める。しかし今は4割が男性からの依頼。これも社会が平和だからか。そして本書の最大の救いは、探偵事務所によるアフターケア。動かぬ証拠を突きつけられた後の夫婦。そこから離婚16%、別居8%と思ったより少なく、婚姻関係の継続が71%とのこと。婚姻関係の継続には、関係修復だけでなく、仮面夫婦も含まれるが。それでも崩壊しなかっただけ良かった。せっかく一緒になったのだから。
https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000014/

いいなと思ったら応援しよう!