アスリートキャリアセンター「新しい部活のつくり方」
アスリートキャリアセンター「新しい部活のつくり方」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BZW8YSD8/
この本が書かれた理由は、2023年度から全国の公立中学校で始まる「部活動の地域移行」である。部活動の顧問は教員によって担われている。その教員は授業以外にも採点や教材作りなど様々な業務を抱えている。しかし運動部の練習は毎日の放課後に行われ、大会や試合は休日にある。必然的に教員の抱える負荷は大きくなる。またその教員が担当している部のスポーツに詳しいとは限らない。どちらかと言えば素人である場合が大半である。その結果として指導を伴わない形式的な顧問となってしまう。このような事態を打開するために、地域の有意な人材に顧問を任せようという動きである。この方法なら、教員の負担も減り、地域における有能なコーチ(例えば柔道部に柔道の達人コーチ)をスカウトできる。また学校と地域の結びつきも交流ができて活性化する。
しかしながら部活動の指導にもセオリーや技術が必要である。そこを無視するとパワハラや体罰などの問題が起こりかねない。本書では目標の立て方から、トラブル発生時の救急法までをカバーしている。各パートのスペシャリストによるレクチャーだ。チームづくりやコーチングの基礎を青山学院大学の原晋氏が、体と心のケアの部分をフィジカルトレーナの中野ジェームズ修一氏が、メディカル面を医学博士の根来秀行氏が説明。全国の運動部員は徐々に減少している。これは少子化にも起因しているが、現場の疲弊や制度疲労も大きく起因している。自分の中高大生活の大半は部活動(水泳部)が占めていた。心と身体はプールで育てられた。青少年にとって、自らが打ち込める野球部やバレーボール部がなくなるのは虚しいことだ。青山学院大学の原晋氏は、部活動の地域移行を国策として提言している。序文における室伏広治スポーツ庁長官とのツーショットは、その意気込みをビジュアルに示したものである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?