日本ホーリネス教団の特色「四重の福音」
11月28日の尾久キリスト教会における祈祷会の広瀬邦彦先生の説教。題材は「マルコによる福音書」第2章1〜12節。
日本ホーリネス教団の特色として「四重の福音」を掲げていることがある。「四重の福音」とは、新生、聖化、神癒、再臨を指す。いずれもイエス・キリストが私たちになしてくれた救いの本質を表現することば。新生とは「救い主」であり、「聖化」とは「きよめ主」であり、「神癒」とは「癒し主」であり、また「再臨の主」であるという意味で用いられる。
今日のテーマは、その3番目である「神癒」。身体が麻痺した病人の治癒を、4人の友人がイエスに期待して運んできた。しかも屋根に穴を開けて吊り落とすという奇想天外にして、はた迷惑な策であった。これはイエスの家を群衆が取り囲んでいたからのこそで、当時は日干し煉瓦の屋根だから剥がせばできたこと。イエスは病人の信仰というよりは、友人たちの信仰を認めた。
リチャード・フォスター牧師は、他者のためへの祈りとは、祈る者たちが苦しみや病気にある者のために憐れみが必要と説く。助けが必要な人を訪れて祈るということは、思いやりや共感を必要とする重要な信仰である。そのことが祈りの結果を生む。医療宣教師のブランド博士は、インドで手術後の患者の病室に、家族が温かいスープを届けたり、寝泊まりすることを『衛生的でない』と最初は考えた。しかしそのような介護を受けている人は、他の患者よりも使用する鎮痛剤の量が明らかに少なかった。これは愛ゆえの治癒効果であろう。
第5節で「あなたの罪は赦された」とあるが、病人が一般的な罪人であったわけではない。あくまで全ての人がアダム以来の罪人であったという意味に過ぎない。ただしこの頃のユダヤでは因果応報論が横行しており、罪を犯したから病いになったと決めつける傾向があった。第7節における律法学者の呟きは、神と子をイコールであると認識していなかった故である。一方で第11〜12節で、患者が起床して帰宅した奇跡は、病人がイエスの言葉を信じたからこそである。一粒の辛子種ほどの信仰が、とりなしの祈りとなる。