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澤田瞳子「輝山」

澤田瞳子「輝山(きざん)」(徳間書店)。期待の直木賞受賞直後の新刊。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09H6Q92N8/
石見銀山を持つ天領・石見国の大森代官所に、江戸表から赴任した金吾は、代官である岩田鍬三郎の身辺を探って報告するように、上役の小出儀十郎に命じられていた。しかし明けても暮れても取り立てて岩田に失政は見受けられず、むしろ黒子に徹した名差配ばかりが目につく次第。間歩と呼ばれる坑道で銀を掘る仕事は、給金はいいが、粉塵を吸って職業病である気絶(きだえ)で男たちが若死にする。堀子の集まる銀山町の飯屋・徳一の店に通いながら、金吾は銀山町に馴染んでゆく。いつしか岩田を慕い敬い、銀山町の堀子たちと親しみ、文字を学びながら、銀鉱脈を有する仙ノ山を愛するようになってゆく金吾。
1️⃣春雷
銀吹屋のお辰は、亭主の吉左が死んだ後も家業を引き継いでいたが、悪徳山師の平五郎に権利を売り渡すことに。事態の救済を岩田に訴えた金吾であったが、局面は意外な展開を。
2️⃣炎熱の偈
堀子の喜助の一粒だねの太助が疫痢で急死し、女房のおのぶは信心に狂う。金吾は岩田にも、かつての名代官が疫病の流行で見せた救済策を期待するが、一向に動きがない。
3️⃣銀の鶴
身体が弱く卑屈に暮らす市之助。しかし彼にも破談にはなったが、夫婦約束をしたお伊予がいた。彼女の幸せのために、市之助が取った行動とは。
4️⃣ありし月
豪商・田儀屋三左衛門へ、松井松平家に貸した名茶器を、家中の溝曽路主税が持参。同席した銀山方組頭の河野長兵衛は主税の挙動に不審を感じる。
5️⃣たたづむはまつ
生活の貧困からご法度の堀子のかけ持ちをする中に少年もいた。小六は母の薬のため、条件の劣悪な間歩で大けがをする。悲劇を繰り返さぬため、手習所の開設が岩田に陳情される。
6️⃣いのちの山
親友となった与平次が気絶に罹って金吾は動転する。しかも彼をこの地に遣わせた小出儀十郎が江戸無宿人たちを石見に連れて来ることになり、どういう態度を取るか更に狼狽える。

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