米国領事館🇺🇸からのプレゼント
仕事始めで出社したら荷物が届いていた。開けてみるとGODIVAのチョコレートであった。差し出し人は在福岡米国領事館。昨年の6月20日に参列した油山観音での「B29搭乗員犠牲者慰霊法要」の縁である。法要を終えて帰京した後に、主宰者の深尾裕之氏と米国領事館にお菓子を贈った。深尾裕之氏からは、その後も著作物を送ってくれたり、他の慰霊祭の情報を連絡して下さる。米国領事館からはジョン・テイラー主席領事から日本語と英語の両方で感謝の手紙を頂いた。
初めて聞く方のために説明すると、福岡市油山で米軍捕虜を処刑した亡父はC級戦犯として追われ、日本で最後に横浜軍事裁判で裁かれて、巣鴨プリズンで服役した。父は極端なメモ魔で処刑から逃亡して服役する期間の間、多くの記録、絵画、写真を残した。その記録を見たノンフィクション作家がドキュメンタリー「逃亡」を出して「日本エッセイスト・クラブ賞」を受賞して、その本を読んだNHKディレクターが井浦新主演でテレビ番組「最後の戦犯」を作った。太平洋戦争終結時には「西部軍三大事件」(九大医学部生体解剖事件、石垣島事件、油山事件)があり、いずれも米軍捕虜を日本軍が処刑した事件だった。
慰霊祭の開催で、戦後76年ぶりに持てた日米の交流はまことに有意義であった。お互いに遺族ではあったが、処刑した側の家族がその後の父の人生を語り、処刑された搭乗員の遺族が亡き人への思いを語った。ジョン・テイラー主席領事は「福岡大空襲を行ったB29搭乗員の誰もが、自分が日本を攻めるとは思ってもみなかった。だから後世のわれわれはお互いに謝る必要はなく、前向きに平和を実現しよう」と語ってくれた。遺族として責められることもありかと覚悟して現地に赴いたが、米国サイドの懐の深さに安堵した。そんな感謝の気持ちで送ったお菓子に対する返礼のチョコレートだったのである。米国領事館はここまで配慮するものかと感嘆。そのチョコレートだが、商品説明が全て英語だった。これは日本国内ではなく、アメリカ本土から輸入手配したようである。そこまで米国内需要に配慮しているのかと二重にサプライズ。