特筆すべき力士 蒼国来
蒼国来が引退して、荒汐部屋を継ぐことになった。荒汐親方(大豊)が定年退職になった後を受けてのこと。蒼国来は、中国の内モンゴル自治区生まれだったが、昨年9月に日本国籍を取得している。中国出身力士の部屋継承は初めてのこと。荒汐部屋は、猫が稽古場でまったりしていることや、ガラス張りの壁で何時でも稽古が観れるという、オープンマインドな相撲部屋。蒼国来は2011年の八百長事件で、角界を追放された。しかし自らの潔白と地位回復を主張して、東京地裁に日本相撲協会を起訴した。2年半にもおよぶ裁判だったが、その精神力に感服。この点で蒼国来は特筆すべき経歴の力士である。訴訟期間中も蒼国来は荒汐部屋で生活を続け、荒汐親方も蒼国来の無実を訴え続けた。時の放駒理事長から、蒼国来の居座りを、親方は注意され続けていたそうだ。逆境における師弟の信頼あってこその部屋継承だったのだろう。
めでたく復帰かなって、ふつうは2年半ものブランクがあれば、実力が落ちると言われる。復帰当初は、3場所連続で負け越し。しかしその後、徐々に地力を発揮して、幕内十両で再度活躍。右の四つ身が得意で、地味な取り口だったが、土俵際で勝負強さを発揮していた。幕内最高位は東前頭2枚目。初土俵は2003年で36歳。通算成績は466勝440敗49休。三賞は、2017年初場所に技能賞。2017年春場所で金星1個(日馬富士)。玄人好みのシブい力士だった。不遇の時期があるだけに、弟子の苦労を察してあげられる親方になるであろうことを期待。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200326-00000060-mai-spo