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MIP=Most Impressive Person 明瀬山

大相撲初場所は大栄翔の優勝で沸いたが、一方でバイプレーヤーとして抜群の人気を集めたのが明瀬山。場所後の番組でも、NHKで2回もスポットライトが当たった。
 先ずは「サンデースポーツ」。番組の最後でMIP=Most Impressive Personとして紹介されていた。5年ぶりの幕内復帰で、初日から6連勝で35歳にして初の勝ち越し。勝ち越しインタビューが、満面の笑みにして涙ぐんでいる愛嬌たっぷり。このシーンに、全国民が胸にドキュンときた。自分にとって、これだけインタビューが印象的だったのは、日馬富士から金星を挙げた時の臥牙丸の興奮長舌以来。千秋楽に「勝てば敢闘賞」という条件付き。輝に土俵際まで追い込まれたが、派手な網打ちで行司軍配を受けた。しかし残念ながら行司軍配差し違え。同体取り直しで敗れて夢は四散。しかしちっとも悔しい様子は見せず、自身の健闘を喜び謙虚さ。これでまた好きになる。
 2回目は「能町みね子のシブ5時相撲部」。もちろんメインのお題は大栄翔の優勝だったが、能町部長「推し力士」として登場。紹介のポイントとして、特別に目立つお腹。能町部長には「パンの山🍞」と呼ばれていた。段々畑のように垂れ下がったお腹を、能町部長が「触らせて」と頼んだ結果が「固かった」という驚愕。その取り口は三保ヶ関親方(元栃栄)曰く「蟻地獄」。相手の出方を待ってジワジワと自分の形にして攻め切るスロースターター。部屋でもイジラレ役となる人気者ぶり。周囲から「(インタビューの時に)優勝するって言え」なんて揶揄われたり。
 白鵬や大鵬のように記録が残る力士がいる。明瀬山はそのような輝かしい記録とは無縁の世界である。しかし俗に言う「記憶に残る力士」の典型。「サンデースポーツ」が与えた「Most Impressive Person」の称号は、まさに明瀬山にこそピッタリ。それにしても35歳で化ける力士っているんだなあ。ずっと十両にいて、ついこないだまで幕下に落ちたりしていたのに。明瀬山の周辺にはユーモアが漂っている。照ノ富士の逆転人生の悲壮さとは、ちょっと違う。本人からは人生への感謝が感じられる。そこが人気爆発の秘訣だろう。

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