大相撲初場所2021総括
大相撲初場所が終わった。大栄翔が初優勝+殊勲賞+技能賞。埼玉県人で、追手風部屋で、いずれも初の快挙。殺到する突っ張りで、三役全員を撃破する、見事な快進撃。抑えた表情の中で堪えきれない感激を見せた優勝インタビューは感動物だった。http://www.sumo.or.jp
マクロに見れば、コロナ感染者が多く出て、全力士600人の1割を超える65人もの休場者が出る中での場所開催。場所途中の感染者発生で中止も危惧されたが、無事に千秋楽にランディングは奇跡と思えた。両横綱はいつもの不在で、もはやいないことが当たり前。場所は三大関と照ノ富士の四人を基軸に展開。そして平幕陣が本気になって優勝を狙っている。通常なら14勝以上の優勝ラインも、ここのところ13勝に下がっている。もはや地位は関係なく、実力均衡の戦国時代だ。
ミクロに見れば、貴景勝の綱取りは無惨に散った。緊張で足が前に出ておらず、極端な体重増加も仇となったのだろう。正代は優勝を争ったものの、後半に引く相撲が目立ち、大関昇進時の前に出る相撲が影を潜めた。朝乃山は序盤の乱調が響いた。良い相撲と、良くない相撲が極端に相半ばしていた。照ノ富士は序盤は研究されて、相手に上手く取られていた。しかし後半は大関陣を圧倒する実力を見せて技能賞。取りこぼしが多かったが、上位陣に対しては実力発揮の御嶽海。三役以下でも見どころが多かった。左差しの技が要所で燻銀のように光ったベテラン宝富士。明生のしゃにむに前に出る素晴らしい相撲。序盤の連敗から奮起の9連勝で勝ち越した豊昇龍。肩透かしで場内を沸かせて技能賞の翠富士。11連敗にめげずに土俵を務めた琴勝峰。大きな相撲で二桁勝利の琴ノ若。ベテラン明瀬山の序盤連勝から、初勝ち越しの泣き笑い。日本中が明瀬山を好きになったNHK勝ち越しインタビューだった。連勝を重ねて、十両優勝を果たした剣翔。追撃する大翔丸も、身体が良く動く復活。業師の宇良が突進力を備えて二桁勝利。
後援会に入っている阿武松部屋では、阿武咲の目の覚めるような突進復活。幕下に上がった二本柳の優勝決定戦への進出。慶天海は、序盤3連敗から3連勝で持ち直すも、7戦目で一点の負け越し。コロナ禍で初場所も打ち上げパーティは中止。もちろん個別の会食ができる状況にもない。もう1年間力士とファンの交流がなくなったことは残念。