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薔薇二題

薔薇二題。その第一題。わが都電荒川線沿線は「さくらトラム」などと称しているが、実は薔薇が見事。「さくらトラム」という命名は桜の名所である飛鳥山や、椿山荘そばの面影橋沿いの桜並木が由来と思われる。しかし桜の時期は短期間。薔薇の咲き誇る期間はかなり長い。荒川区周辺は、区民ボランティアの方々が、丹精込めて色とりどりの薔薇を植えて育てる。これは荒川区が昭和60年度から「都電沿線のバラ植栽事業」を、区のシンボルとして、また、区民の足として親しまれている「都電荒川線」を花と緑で包み込もうとしている。現在では、荒川線の区内延長約4.8キロメートルのうち植栽が可能な約4キロメートルの区間に、約140種のバラを植栽。かなりの規模で、自分の住んでいる荒川車庫前から町屋の電停の方まで、ずっと薔薇が咲き誇っている。合間に薔薇園が、あらかわ遊園地、三ノ輪、荒川二丁目、荒川南公園、町屋にある。サンポップ町屋という駅ビルでは、優秀な薔薇を表彰するイベントも開催されている。線路の両側の薔薇の花の方列に囲まれて走る都電荒川線の車両の姿は、フォトジェニックで、なかなか絵になる。
 第二題。高校の同級生たちとは、いまだによく食事をする機会がある。そんな中で特に仲のいい組み合わせがいくつかあるが、そのうちの一組が女性たちの誕生月がたまたま同じ。では合同誕生祝いをしようということで、食事に集まった。誕生日祝いの会といっても、同級生だから割り勘である。しかしせっかくの誕生祝いの会なのだからということで、男性諸氏からお金を集めて、女性たちに薔薇を贈った。それっきり忘れていたが、ずいぶん経ってから、その女性の一人から「貰った薔薇に、また新しい花が咲いた」と写真が送られてきた。僅か数百円の薔薇だったが、贈った方も忘れていた薔薇を大切に育ててくれていたことに感激した。

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