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原田祐介「週末猟師 ジビエ・地域貢献・起業 充実のハンターライフの始め方」

原田祐介「週末猟師ジビエ・地域貢献・起業 充実のハンターライフの始め方」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09KKR8PYT/
 この本は読む前から楽しみだった。自分が電子書籍で担当して読んだ本の中で最も面白い本だった。近年は獣害の多発で猟師の重要性が改めて脚光を浴びている。猟師生活に興味を持つ方のために、狩猟文化の発信拠点『猟師工房』を君津で運営する原田祐介氏が、その世界観やリアル感をわかりやすく魅力的に解説。実際にはライフルを持つためには散弾銃経験が10年必要で、山野を歩き回る体力が必要な上に、私は視力が悪いので、自分には取り組むことは困難である。読むのが遅過ぎたことが残念。
  先ず猟師になるためには何をせねばならないか。①狩猟免許の取得(警察)②猟銃の所持(購入:30〜40万円)③狩猟者登録(自治体)。そして狩猟の方法には三つあり1️⃣猟銃2️⃣罠3️⃣網がある。猟銃所持するには年に一回の銃砲検査が必要。実際に狩猟のノウハウを獲得する最もスタンダードな方法は猟友会への所属。門前の小僧がお経を習うに師匠の存在は大事。大勢で行う巻狩りでは①犬②健脚③無線が必須。特に①犬は猟犬の能力によって成果が全く変わってくる。そして狩猟の最大の喜びはジビエ料理。そこに至るまで解体作業の習得が必要。解体においては獣体の冷却、血抜き、内臓の処理などが必須。生命を奪った獣に対して、余すところなく活用するのが礼儀。
 本書では狩猟における社会的問題も指摘。例えば東日本大震災の原発事故による放射能含有による東北地方から関東地方にかけての広範な地域での狩猟した動物の肉食禁止。そして増えすぎた獣の獣害。有害駆除後の廃棄(殺した限り余さず利用する精神への逆行)。現実の狩猟界は様々な問題を抱えている。著者はこのような問題に対して起業精神を発揮して、解体作業所の開設や獣肉の販売などに乗り出した。その結果として、発生した駆除獣肉がゴミとなって、処分に困っている地方都市の解決手段にもなっている。また生命の大切さを教えるために親子狩猟教室や親子解体体験などのワークショップも実践されている。趣味から社会貢献へと発展しつつある素晴らしいドキュメントである。

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