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人間の真価は危機においてこそ試される

誰しも耳を疑う「ビッグモーター」の不正請求問題。従業員自らが車体に傷をつけて保険料を請求したという、医師が患者に暴力を振るったような異常事件の常態化。今日午前11時から兼重宏行社長による会見が行われた。散々逃げ隠れした上での登場である。自分がこの会見に注目した点は1つ。それは兼重宏行社長が「この事件を指示(または誘導)したのは、自分(と息子)である」と発言するかどうかだった。そもそも従業員が自発的に車を傷つけるはずはないのである。上司が口に出したかどうかはともかく、そのような行為を暗に促していたに違いない。誰しも鬼畜ではないから、かような振る舞いは上位下達の組織的体質が温床である。
 そして兼重宏行社長は、やはり知らぬ存ぜぬだった。手を汚さざるを得なかった従業員たちは、この報道を聞いて、自分たちがこのようなトップを持ったことが、さぞかし情けなかったことだろう。自分を誇るわけではないが、部下が仕事で手ひどいトラブルを起こした時に、親会社の専務に呼ばれた。そこで事件の顛末を報告したが、自分の指示責任において起こった事件であると報告した。専務は叱責しながらも「1つだけ褒めてやる。お前は部下のせいにしなかったな」。専務はとうに退任されたが、今でも御徒町の蕎麦屋で呑んだりする仲が続いている。間違いは誰しもにある。肝心なことは、起こしたトラブルにいかに誠実に向かい合うかである。人間の真価は、危機においてこそ試される。
https://news.ntv.co.jp/category/economy/71abd91fb254447ab7d7e40aabaf307e

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