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相撲ファンには見逃せない「サンクチュアリ-聖域」
話題のNetflix「サンクチュアリ-聖域」。借金まみれの崩壊家庭に育った、ヤンキーの小瀬清は金を稼ぐために猿将(えんしょう)部屋の力士となる。しかし不遜で下品な態度の彼に、部屋の仲間のみならず、協会のお歴々までも嫌悪をあらわにする。部屋では彼に対する、激しい虐待やしごきは続く。荷物をまとめて部屋を出た清だが、彼の将来性を見越した同部屋の力士・清水(後に呼び出し)による必死の説得で復帰。北九州で同郷だったホステス七海と仲良くなったことが、彼の唯一の心の癒し。そんな中、交通事故で父が植物人間となって入院。入院費を払おうとしない家出母から、お金をせびられる。情愛深い父のために、ようやく清は相撲に本腰を入れる。そんな彼に親方は「猿桜(えんおう)」という四股名を命名。取材する関東新聞の帰国子女の国嶋飛鳥記者は、最初は角界を毛嫌いしながら、やがて猿桜の相撲に強烈に惹かれてゆく。猿桜の素質を見抜いた元小結の先輩力士・猿谷(えんや)は、目をかけて指導する。次第に番付を上げていった猿桜は、虎空部屋の異形の友人である巨漢力士・静内と運命の対決に臨む。
前半の画面は相撲部屋での虐めや暴力の連続。露悪的で綺麗ごとではないから、迫力がある。実際に猿桜みたいな酔狂な力士がいるはずもなく、いたら即クビだろう。しかし後半に入って、猿谷の断髪式における師弟や親子の情、心を入れ替えた猿桜たち力士の「強くなりたい」という向上心、国嶋飛鳥記者の猿桜取材への傾倒ぶりなど、後半は感涙号泣の連続。全8話×各1時間を通しで一気見した。日本相撲協会の取材協力を得たわけではないそうだ。それはそうだろう、ここまで角界を暴力的に描けばOKが出るわけがない(しかし日本アマチュア相撲協会の厚意はあったそうだ)。それにしては国技館や相撲部屋を模したセット。よくぞここまで力士体格と技能を揃えた俳優を集めたことに驚嘆。それも長期に渡っての彼らの肉体改造にまで取り組んだそうだ。絵として不自然を感じさせない画像だった。実態か否かはともかく、フィクションだから強調はしかたがない。四股や小指の大切さなど、基本はカバーしている。だからそれなりの説得力もある。ピエール瀧、染谷将太、田口トモロヲ、松尾スズキ、きたろう、余貴美子、忽那汐里、小雪、岸弥五郎、仙道敦子、笹野高史、中尾彬など大物実力俳優の出演も多く、場面の存在感を引き締めていた。NetflixやAmazonの米国市場でないと、日本では作り得ない手間とコストの映像である。続編を期待したいが、ここまで手をかけた作り込みでは、そうそう簡単に実現はしないだろう。
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