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西條奈加「首取物語」

 西條奈加「首取物語」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓

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貧しい少年トサは当てもない放浪の生活を送っていた。そんなときに首だけで生きている元侍オビトと出会う。二人の共通点は過去の記憶を失っていること。二人は古都・那良を目指して旅を共にする。怨みをテーマとした、非常に哲学的な寓話である。義とは何か、善悪とは何か。そしてそのような価値判断に意味があるのか。改めて人類の価値観に、問いを投げかけた深い思索の末に生まれた作品。

1️⃣第一話 独楽の国

・トサは空腹に耐えかね、男の握り飯を奪った。しかし同じ光景と行為が何度も繰り返される。どうすれば無限ループから抜け出せるのか?

2️⃣第二話 波鳥の国

・旅の途中で海辺に出たオビトとトサ。漁師の櫂蔵と凪夫婦に泊めてもらった夜に、津波に襲われる。朝を迎えて浜辺は一変していた。

3️⃣第三話 碧青の国

・トサが恋をした。西洋人のような白い肌、薄い色の瞳をした少女おくう。その国は碧青という鉱石を掘って暮らしている。碧青さまの花嫁に選ばれたおくうをオビトとトサは逃す。

4️⃣第四話 雪意の国

・突然に遭遇した猛吹雪。雪を掘って難を逃れた二人を、通りかかった雪船が助ける。しかし雪船に新たに襲いかかった血吹雪が、船頭たちを死の国に誘う。

5️⃣第五話 消去の国

・盗賊の少年・日達丸に盗まれたオビト。消去の鬼と話せるのは「御首さま」だけだと言う。妹や仲間を殺されて生きる望みを失った頭を助けて欲しいとの懇願を受ける。

6️⃣和茅の国

・那良の都に着いたものの、誰にも相手にされずに戸惑う二人。しかし突然にオビトとトサの過去が甦る。オビトは檜垣金剛、トサは五太という少年だった。

7️⃣波賀理の国

・オビトとトサの二人の因縁が明らかになり、その義が「波賀理」という名の秤で、天秤にかけられる。計量の末の二人の運命やいかに。


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