原泰久「キングダム74」、若手将校たちの台頭
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「三つの柱」で挑む! 紀元前231年 韓攻略戦 「番吾の戦い」で趙軍に惨敗を喫した秦。失意に沈む咸陽だったが、軍総司令・昌平君が起死回生の“三つの柱”を進言。もう一度、中華統一の道へ回帰するべく、秦国は総動員体制で立て直しを図る。その第一歩として、全国民の“戸籍作り”に奔走する文官たちだが…!?(以上、公式解説)。
いよいよ秦の中華統一が本格的にスタートする。その原動力となったのが戸籍整備。後に徴税の手段となる戸籍制度だが、戦国時代には漏れなく徴兵という目的を持った。その結果として雲霞のように生じた新兵。敗軍の将・王翦軍が失った兵力に余りある軍勢だった。そんな秦が牙を剥いたのが、最弱国である韓。寄せ手は李信、楽毅、王賁の若手三羽烏。未だ大将軍には至らぬものの、秦軍も世代交代を遂げつつある。上司が出世すれば部下も昇進する。将軍・李信を補佐する羌瘣は二万人将となる。縁の下の力持ちだった渕は五千人将に、尾平は三百人将に、昂は百人将となる。
今回の見所は韓の前衛である南陽城を落城させた後の統治。厳罰で取り締まるか、融和政策を取るか。六大将軍の騰は、南陽の統治を韓都・新鄭が見守っており、それをさらに中華全域が見つめていると説く。そして統治の結果が、中華の模範となると予言する。そして騰は李信に、そのテーマの実現を託す。頭より身体や気持ちで表現する李信。侵入した秦兵に対する、南陽住民の心にいかにラポールをかけられるか。まさに本来の統治=政治の肝要がここで実証される。