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斎藤栄「鎌倉-芦屋殺人紀行」

 江戸川探偵長以下、横浜ハート探偵局の面々は、俳人・佐々木律二が主催する俳句の会「四季」に入会することになった。さっそく江戸川が有馬温泉への吟行句会に参加したのだが、そこで事件が発生。宿泊した旅館に隣接した竹林の中で、男の刺殺死体が発見された。その胸の上には子規の名句が書かれた一枚の紙が。同時に「四季」メンバーの草野愛香が行方不明になる。鎌倉、横浜、日光、そして芦屋と続く吟行会で虚子、漱石、芭蕉、といった文豪の名句にちなんで次々に起こる怪事件。
 探偵長の提案で所員全員が俳句を習いに行くという物語の設定が、そもそも笑える。俳句そのものが謎かけであり、種が明かされれば『フンフンなるほど』と、言葉の綾を楽しめるミステリー。事件の進行中、瓜生明美が犯人のアジトに潜入するシーンは、江戸川乱歩作品のような、危ない耽美劇。読み終えた時に、「四季」という会そのものの目的が何だったのだ?という意外な結末。
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