プラットフォームで見た寝台列車 in 中国
寝台列車
夢のある乗り物だな。
深緑の列車を横目に私は思った。
上海駅で新幹線に乗るため、私は改札を抜けた。
どこに行くにもパスポートと荷物チェック。
海外に来たなと感じると同時に少し面倒だなとも感じた。
前もって駅に来ていなければ、
日本のようにダッシュで改札まで到着すれば間に合うかも、
そのような考えは中国では通用することは無かった。
人、人、人。
右を向いても左を向いても人が元気である。
日本のように、暗い顔をして電車を待つ人はあまりいないように感じた。
声高らかに電話する男性、母親に縋る子供とそれに応える母親。
皆が元気だった。
また、プラットフォームは日本と比べると清潔感は無いが、
過去タイの国鉄に乗った時に感じた駅の素朴さも無かった。
新幹線を待っている間、それなりに時間が過ぎていた。
少しした時、新幹線の線路の隣側に、寝台列車がやってきた。
どうやら上海発のようで、駅員と清掃員が慌ただしく準備を始め出した。
深緑の、吉林省に行くらしい寝台列車。
1部屋は4人で何故か個室の真ん中には4つの簡易ベッドと
スチールのボウルのような半円の何かがあった。
学生時代、バックパッカーサークルに所属していた時の仲間を思い出す。
彼らがいたら、今からチケットを買い直してでもこれに乗って
進路を変更してでもロマンある旅をしたいと言い出すだろう。
4人のうち私を含めた2人は初めこそ文句を言うだろうが、
結局面白い事見たさでこの寝台列車に乗車するはずである。
上海から吉林に行くには、何時間かかるのだろう。
その間、4人の個室で学生時代の私と仲間たちはどんな会話をし、
どんな景色を見ることになるのだろう。
なんて事を考えた。
安くて時間のかかる寝台列車にロマンを感じ、
少しだけ新幹線に乗ることが悔しく感じた。
乗ってみたくなった。