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モダンURから見たMinor Misstep

2/3に発売されるファイレクシア : 完全なる統一のカードプレビューにて、《Minor Misstep》が公開された。

青1マナで、マナ総量1以下の呪文を打ち消す呪文だ。前々から、φマナじゃなくていいからモダンにミスステ来ないかな〜と思っていたらもっと強いのが来た。わたしの使っているモダンURデルバーでぜひ使いたいなと思っているので、どういうときに強いカードなのか考え、採用枚数を検討してみる。

打ち消しのテンポ損

まず前提として、1マナ使って1マナを打ち消すのは基本的に弱い動きだ。0マナで1マナを消せる《精神的つまづき》とは訳が違う。端的に言えば、テンポ損が発生しているからだ。
クロックパーミッションやコントロールを使い慣れている人ならば感覚として理解していると思うが、除去にせよ打ち消しにせよ、1対1交換を行う妨害札、対処札は、相手が展開する脅威と同じマナ総量で対処できるだけでは基本的に微不利だ。使っている枚数、マナが同じなら、能動的に展開できる方が有利なのは当然だろう。例えば2マナクリーチャーを稲妻で除去するならようやくテンポ的に得をできるし、逆に稲妻に対抗呪文を撃つのはテンポ損で、例えばそれでフルタップになったところへ2枚目の除去やより脅威度の高い行動を通されるリスクがある。「マナクリは焼け」とよく言われるが、それは2T目3マナアクションを阻害する(そして後手から先手2T目3マナを後腐れなく対処する手段は意外と少ない)ことで、失ったテンポ以上のテンポ損を相手に強いることができるからだ。
加えて、《Minor Misstep》は打ち消しのため、出てからの対処には使えない点でも、かなりテンポ損しやすい。打ち消しはその特性上、マナを立ててターンを返す必要があるので、相手が何もしてこなかったり、打ち消しの当たらない行動をしてきた場合は何もできず、テンポ損を背負うことになる。
そして、互いに充分にマナが伸び、かつ複数アクションを取れるような手札がなく、テンポが意味をなさない場合においては、基本的に《対抗呪文》が最も強い打ち消しなのは言うまでもない。当たる範囲の広さは正義だ。

テンポ損しても打ち消しが強い場面

一方で、テンポ損をしてまでも打ち消す動きが強い状況もいくつかある。
ひとつは、こちらが有利な盤面を作っている際に、それを逆転しようとする動きを打ち消して妨害する場合だ。わかりやすい例は、ラガバンに飛んでくる稲妻を対抗呪文で消すことだろう。この場合、そもそもテンポで先行しており、相手がそれを覆さなければいけない状況のため、打ち消しによって多少テンポを損しても、それで相手も遅れてくれるならば問題ない、という考え方だ。クロックパーミッション(撹乱的アグロ)的な打ち消しの使い方と言えるだろう。
ふたつめは、失ったテンポを取り返せるようなデッキ構成になっている場合だ。主にコントロールのことだが、マナを構えたことによるテンポ損、軽い呪文にカウンターを合わせたことによるテンポ損の累積を、全体除去による大幅なテンポ回復や、能動的な動きを枯らすことで相手のテンポ損を引き起こすことで、逆転できるようになっている。ロングゲームになり、テンポが関係ない盤面を構築できれば、得意なアドバンテージ勝負に持ち込むことができる。
最後に、通したら負けてしまうコンボや、相手のキーカード、自分へ致命的に刺さる対策カードを止めることで、大幅なテンポ差をつけることができる場合がある。特に、アーティファクトやエンチャント、PWのように除去しにくいパーマネントや、出た時点で仕事をされてしまうカード、解決した時点で効力を発揮するインスタントやソーサリーなどは、打ち消しによる対処が有効となる。

Minor Misstepの当て先

上記を踏まえて、《Minor Misstep》の強みを考える。
まず、1マナであることだ。2マナ以上なら対抗呪文で良いが、それより1マナ軽いというのは打ち消しにつきもののテンポ損を緩和できるという点で非常に重要だ。打ち消しは軽さが正義である。これは最序盤や、複数アクションが要求される場合に有効に働く。
次に、マナ要求の打ち消しではないことだ。対抗馬として呪文貫きがあるが、これは相手に2マナ払われると打ち消せないため、中盤以降にカード1枚分の役割を果たせないことが多い。その点、対象さえ取れれば確実にカード1枚分の仕事ができる。もともと1マナ以下の呪文が対象のため、この差が出やすい。
最後に、クリーチャーに当たることだ。1マナ以下のクリーチャーは概ね除去で対処できることが多いものの、除去札を温存したいときにクリーチャーへ当てる選択肢が取れるのは便利な場面もある。

具体的に《Minor Misstep》を当てたい対象を思いつくだけ列挙しよう。

除去系: 稲妻、邪悪な熱気、虹色の終焉、致命的な一押し、思考囲い、コジレックの審問、薄氷の上、流刑への道、仕組まれた爆薬
クリーチャー: エスパーの歩哨、ルーンの与え手、ラガバン、ドラゴンの怒りの媒介者、マナクリーチャー、若き狼、死の影、呪い捕らえ
コンボ: 衝撃の足音、死せる生
打ち消し系: 呪文貫き、呪文嵌め、Minor Misstep、夏の帳、鍛冶屋の技
キーカード: シガルダの助け、巨像の槌、精力の護符、フェイン・デス系、儚い存在、霊気の薬瓶、探検の地図
サイドカード: 大祖始の遺産、虚無の呪文爆弾

軽い環境だけあって、どのデッキにも基本的に当てる先はありそうだ。UR視点として特筆したいのは、エスパーの歩哨だろうか。このクリーチャーに対するスマートな解答は今まで存在せず、常に1マナ支払いかドロー献上の選択を余儀なくされていた。インスタントタイミングのハンマーに対処できるのも嬉しい。稲妻での対応が難しかったため、確実に消せる保証があるのは大きい。
他にも、待機スペルを消せること、環境の主要な除去に全部当たること(払拭が好きだったが、虹色の終焉に当たらなくて困っていた)あたりが良い点だろうか。何気に夏の帳やフェイン・デスといった、呪文貫きの通りにくい応手に当たるのも良い。

採用枚数

結論から言えば、メイン1枚サイド2枚か、サイド2枚だけというところか。これより増えることはあまりないと思われる。
意外とどのデッキでも当てる先はあるのでメインに入れても良いが、テンポ的に効率の良い交換ができる場面が限られ、特に後手のとき非常に弱いので、余剰分をサイドに用意して先手番と後手番で枚数調整するのが良さそうだ。
ただ、サイドインするデッキを考えると、ミラー、ハンマータイム、続唱系、独創力、フェインデスあたりのTier1-1.5デッキ相手には概ねサイドインしそうなので、メイン1サイド2でしばらく回してみようと思う。

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