モダン荒野の再生コントロール調整録5
新しいリストの発見
ある日、下記のリストを見つけた。
荒野の再生コントロール
このリストには可能性があると感じて、試してみようと思った。最大の理由は、受けに回るのではなく、能動的に勝ちにいくプランが組み込まれていることにある。コントロールではなく、コンボデッキになっているのだ。
今までいろいろと荒野の再生デッキを考えてきた(前回)が、どうしても今のモダンの速度へついていけずに行き詰まりを感じていた。だが、上のリストはまだ試していない青緑2色のターボフォグ型で、かつ、最近のカードによるアップデートが見込めるリストだった。
上記をもとに作り、調整中なのが以下のリストだ。
デッキリスト
土地 24
霧深い雨林 4
溢れかえる岸辺 2
汚染された三角州 1
繁殖池 2
迷路庭園 3
水辺の学舎、水面院 3
ストーム・ジャイアントの聖堂 1
天上都市、大田原 1
耐え抜くもの、母聖樹 1
爆発域 1
島 4
森 1
クリーチャー 7
ティシャーナの潮縛り 3
緻密 4
呪文 29
成長のらせん 4
否定の力 3
大魔導師の魔除け 2
荒野の再生 4
一つの指輪 4
謎めいた命令 4
記憶の氾濫 3
ロリアンの発見 4
運命のきずな 1
サイドボード
仕組まれた爆薬 1
墓掘りの檻 1
夏の帳 2
毒を選べ 2
厳しい説教 2
狼狽の嵐 1
タルモゴイフ 3
忍耐 2
夜群れの伏兵 1
デッキの回し方
勝ち手段
このデッキの勝ち手段は、《一つの指輪》でライブラリーを引き切り、《運命のきずな》で無限ターンに入って、《謎めいた命令》でブロッカーをタップして適当なクリーチャーで殴り切ることである。
《水辺の学舎、水面院》で指輪をアンタップすることができ、《荒野の再生》で水面院がアンタップするため、複数枚の再生や追加ターンを絡めれば一気に20〜30枚くらいドローできて、簡単にセルフライブラリーアウトできる。
それだけ重荷カウンターが乗るとアップキープのライフルーズで負け得るが、上記のリストではまだ刷られていなかった《ティシャーナの潮縛り》によって、ライフルーズの誘発を打ち消し、能力を失わせて以降のライフルーズも踏み倒すことができる。そのため、マナが十分なら、4〜6個重荷が乗っている指輪をライフルーズ誘発にスタックしてドローを起動して潮縛りを引きにいってもよい。アップキープにライフが1でも恐れる必要はない。
重要なのは、コントロールではなくコンボだという意識を持つことだ。相手の脅威へ根本的に対処する必要はなく、パーツを揃え、相手の妨害を乗り越えてライブラリーを引き切る準備の時間を作れればそれで充分だ。
序盤の動き
とにかく相手を遅延させることを意識する。ただ、干渉手段はごく限られているので、切りどころは難しい。
このデッキには1マナのカードがない。(元のリストには楽園の拡散が入っているが、手札減らすのが弱そうなので抜いたバージョンを試している)よって、序盤は基本的にマグロではあるが、ピッチスペルの《緻密》や《否定の力》で最低限の干渉はできる。また、諜報ランド《迷路庭園》によってライブラリートップを整えられるようになったのも、元のリストからの大きなアップデートだ。《成長のらせん》で加速できれば理想だが、4枚しかないので高望みもよくない。
中盤の動き
とにかく耐え、時間を稼ぎ、負けるターンを後ろにずらしながらドローを続けて、指輪、再生、水面院を揃えるのが目標だ。
クリーチャーには緻密、ノンクリーチャーには否定の力、能力には潮縛りで対処し、戦闘ダメージを指輪と謎めいた命令で軽減してターンを稼ぐ。
また、耐えるために特に重要なテクニックとして、謎めいた命令による指輪のバウンスがある。
指輪設置してプロテクションで軽減
謎めいた命令タップで戦闘をスキップしつつ指輪をバウンス
指輪設置してプロテクションで軽減
この流れで、戦闘ダメージを3ターンスキップしながらダメージを2ルーズに抑えて6ドローできる。2のターンで再生を設置できるのが理想だ。
ただし注意として、謎めいた命令のタップモードは対象を取らず、バウンスは対象を取るため、タップバウンスに対応して指輪を除去されるとタップも解決しなくなってしまう。ドメインズーに《力戦の束縛》されて殴られると致命傷になりかねないので、持ってそうなときはタップドローが無難だ。
なお、中盤はハンドを増やして対応力を上げるのが最優先のため、指輪と再生が両方ある場合、指輪から優先してプレイすることが多い。
終盤の動き
マナと妨害が充分貯まるか、相手の妨害がなさそうなタイミングで、ライブラリーを引き切り無限ターンに入るのが終盤の目的だ。
目安として、指輪の重荷カウンターが6〜7になる頃にはほぼライブラリーを引き切れる。よって、再生、水面院と、重荷が3個乗った指輪があれば、概ねそのターンのうちに運命のきずなを掘り当てて無限ターンへ入ることができる。
もちろん、相手の妨害やライブラリーの状況によっては決めきれないこともあるだろうが、相手にターンを渡すことにもリスクはあるので、仕掛けるタイミングの見極めは難しいし、わたしもまだ経験値が少ないところだ。
なるべくカウンター諸々を構え続け、マナを空にしないよう気をつけながら走るのが望ましい。
デッキの弱点・負けパターン
基本的にインスタントタイミングで動くことのできるデッキだが、再生、指輪を唱えるときはフルタップになるため、それらをカウンターされたり、エンドに入る前に再生を割られたりすると大きな隙を晒すことになる。特にサイド後はこれらを対処されることが多いので、安易に再生を出さないのが大切になる。総じて、インスタントタイミングで細かく動いてくるクロパ系の相手は非常にやりにくい。
土地詰まりは負けに直結するため、(ロリアンの発見も含めて)土地が2枚以下の初手をキープするのは避けたい。また、リアクションばかり引いてドローカードを引かない、特に指輪へアクセスできない場合も、リソース不足で負けるが、キープ基準はむしろリアクションの数で決めることが多いので難しい。耐えて土地を伸ばしている間に1枚くらい指輪か記憶の氾濫を引いておくのが理想ではある。
また、当然速いデッキは辛いが、戦闘ダメージは指輪や謎めいた命令でどうとでもなるので、火力やコンボで勝ってくる相手の対処が難しい。
さらに、やや毛色の違う話だが、大会の場合は時間切れに注意する必要がある。運命のきずなを見せて早めに投了してくれる相手なら楽だが、それを強要するのは御法度なので、なるべく素早く無限に入ってゲームを取れるよう練習が必要だし、逆にほぼ負けのゲームはさっさと投了して時間を確保するのも大切だ。
サイドプラン(暫定)
正直サイドはまだ全然詰めきれていない。
基本的な方針としては、再生を減らしてなるべくインスタントタイミングで隙なく動き続けるような、少し重めのクロックパーミッションにシフトする。
サイド後はクリーチャー除去が減り再生へ対処するカードが増えると予想され、再生を唱えるリスクが大きくなる傾向にある。よって、4マナ揃ったら再生を即唱える、といった展開は少なくなり、手札で再生がダブつきがちになるため、再生は1〜2枚抜く。それにより使えるマナが減るので、隙の大きいドローカードであるロリアンの発見や記憶の氾濫を減らす。さらに、緻密、潮縛り、否定の力のうち相手のデッキへ効きにくいところを減らす。
代わりに、除去を抜いてくるだろう相手に《タルモゴイフ》や《忍耐》、《夜群れの伏兵》などクリーチャーを投入して、少ないマナで盤面を支えられるようにし、あわよくばそれらで殴って勝ちにいく。その場合、潮縛りでフェッチを咎めにいく動きも強い場合がある。先述のとおり時間のかかるデッキのため、クロパ戦略で勝てるなら時間の節約にもなる。ただ、このアグレッシブプランはサイド枠を圧迫するため、正解かは疑わしいところだ。
環境デッキとの相性やどんなカードがキツいのかもまだ探り探りのため、今後大きく変わる可能性が高い。
所感
今のモダンはリアクションデッキだと勝てないな、と思っていたところ、指輪でセルフライブラリーアウトからの無限ターンという能動的なプランが取れるようになり、「負けないように頑張る」から「勝ちにいく」デッキになったことには手応えを感じている。潮縛りや諜報ランドといった最近のアップデートもかなり噛み合っていた。
ただ、どうしてもまだ回し慣れていないので、細かいミスや押し引きのラインが掴めていない。特に、緻密の切りどころは難しい。対ヨーグモスで、URを使っているときの印象でグリストを重く見て緻密を切っていたが、後から考えるとグリストはクロックやコンボへの影響度が低いカードのため、緻密はヨーグモスへ温存した方が良かった、というようなことがある。
また、能動的に勝てるようになったとはいえ、キルターンは遅く、どうしても相手の仕掛けを一度受け止める必要はある。勝ちにいけるようになっただけで、強いデッキだとは言い難いが、環境次第ではチャンスがあるかもしれない。ともあれ、回して慣れてサイドを詰めるのが当面の目標だろう。
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