二次創作シリーズ「A RECORD OF GRIEF」の舞台裏
そういえば一区切りついてからそこそこ経ったし、プロットとかアイデアメモみたいなの晒しつつそれぞれのメモに寸評とかしてみるの面白くない? という思いつきでやってみる。
当たり前だけれど、短い話はごく簡単なメモしかなかったりするし、逆に長い話のメモは長い。二次創作はけっこう勢いで書くことも多いので、プロットが完全でないこともある。その辺にも言及しながら楽しんでいきたい。
もちろん、ネタバレ全開なのでそれぞれの話は読んだうえでお願いします。書籍版シークレットの話もするので、注意。作品ごとに見出しを作るので、それを参考にしてね。見出しには作品リンクもつけます。
A RECORD OF GRIEF
プロットメモ:
○十七夜軸
十七夜の孤立、月咲と月夜の断絶、魔女化する月夜と壊れていく月咲、自分の信ずる平等とは何か、誰も救えない平等に意味があるのか? という葛藤。
悶々とする中、様子見に行った調整屋で、トラブルに遭遇する
みたま: 勝手に期待して、おだてておいて、結局あなたたちはそうなのね。人間も、魔法少女も変わらない。身勝手で、理不尽で、他の誰かが苦しんでいたって、それに気づこうとさえしない!
メメントモリの魔女と死闘の末なんとか倒すも、呪いに蝕まれたソウルジェムはもはやグリーフシードでも修復不可能だった。十七夜は自身の死を悟り、やちよへ息絶え絶えに電話をし、自分の魔女を倒して欲しいと頼み込む。
やちよが到着する頃には、すでに魔女と果てていた十七夜、それと戦いながら、やちよは健在な十七夜と戦いたかったと、安易な激情へと身を任せ、眩しいくらいの信念とともに力を失ってしまったその姿を、やり場のない怒り、慟哭とともに打ち倒すのだった。
○みふゆ軸
東の魔法少女から逃げおおせることも敵わなかったみふゆは、ついに自分の魔法少女としての力が衰え切って、限界に達しているのだと悟る。やちよをはじめ仲間内には、怪我のせいで本調子でないのだと誤魔化し、しばらく裏方の仕事に回る。しかし、次第に追い詰められていくやちよやみかづき荘の面々を見る中で、何もできない自分を責め、焦燥を募らせていく。
そんなある日、みふゆは穏やかな夢を見る。かつて、やちよと過ごした楽しい時間。家のしがらみを忘れられて、ひとりの少女として、何気ない一日を送って、何もかもがキラキラと眩しく見えた、思い出。その夢を見たのを最後に、全く魔法が使えなくなっていた。
最後に見たい夢を見せてくれた自分の魔法へ複雑な感情を寄せながら、みふゆはみかづき荘を出ていくことを決心する。自分が死ぬ姿を、やちよに見せないため。
「普通になりたかった。でも、やっちゃんと、みんなと過ごすうち、特別な何かになれるかもなんて、思っていた。……でもワタシには、そのどちらの道も、はかない夢でしかなかったんですね」
○ももこ軸
メルの魔女化からしばらく後のこと
メルを巡って十七夜との断絶
みふゆの魔女化、生業の魔女、その性質は郷愁
ももこが倒す
月夜の魔女化、隔絶の魔女、その性質は排撃
十七夜、月咲からの信頼を失う
みたまの魔女化、メメントモリの魔女、その性質は滅亡
十七夜の魔女化、解体の魔女、その性質は激昂
ももことやちよの対立
ももこの魔女化、自戒の魔女、その性質は憧憬
レナの魔女化、変身の魔女、その性質は自責
かえでをやちよが引き取る
鶴乃の魔女化、団欒の魔女、その性質は融和
かえで魔女化、陣取りの魔女、その性質は奪還
やちよの魔女化、モギリの魔女、その性質は鎮魂
振り返り:
だいたいそのままだけどももこ軸が構想段階では決まってない。とはいえメモには書いていないだけでももレナの感情は割とはっきりイメージがあった気がする。かえではマジで決まってなかった。
あと鶴乃の動かし方も決まっていなかった。若干やっつけ気味になってしまったんじゃないかな〜と不安だったんですが割に受け入れられて安心した覚えがあります。
十七夜もやや自信なかった。というか、構想に比べて序盤のこうじりじりひりついていくような展開がだいぶ膨らんでる。ああいう殺伐とした空気感をじっくり作っていくの好きかもしれん。
肝心のラスト書いてないけどたぶん最初から決まってたから書いてないんですよね。はっきりイメージがあるものはわざわざメモには書かないことが多い。
特徴的なのは性質を自分で決めようとしていたことですね。そらまめさんあたりにドッペルと魔女の姿/性質の対応関係について教えてもらってアーカイブ内の設定を使うようにしていました。
長大な? 群像劇だけあってメモ書きも長いですね。
遺稿
プロットメモ:
柊ねむが環ういの死去をきっかけに、死にゆく自分たちの生活をまとめた手記。
前文
環ういについて、仲良くなったきっかけ
環いろはについて、幸せな日常と希望
病気について、暗雲と環ういの死
失われたもの、遺されたもの
柊ねむの最期
里見灯花の述懐、決意
里見灯花の闘病、夢
環いろはの死、灯花の絶望と死
編集註
振り返り:
場面ごとの概要を示しただけの非常にシンプルなプロット。まあやること決まっていて、あとは文章のノリでキャラクター性出していくだけだし、こんなもの。ゲーム内での出来事をなぞるパートも多かったし。
いかにアイデアと文章表現に比重の置かれた話だったかが窺えますね。
手記
プロットメモ:
冒頭
立ち直りはじめ、お菓子作る
ねむに励ましてもらったこと
やちよとの遭遇、警告、喧嘩
ねむの死、遺稿について
灯花の目標と努力、悩みの共有
嫌な予感、やちよとの再会、垣間見えた翳り
やちよ視点、いろはの最期、やちよの決意
振り返り:
こちらも「遺稿」と同様。いろはは魔女に殺されたんだよーというのと、ういの分もお菓子を作ってた(作ることをやめられなかった)よというネタバラし的なことがしたかったのが出発点だったので、その辺りはあえて書いていません。
月のみなしごわすれもの
プロット:
家出をし、誰にも見つからず路頭に迷っていたさなは、傭兵稼業にありつけなくなったフェリシアと出会い、タッグで魔女狩りの生活を始める。苦労しながらも友情とチームワークを深め合うふたりだったが、フェリシアが親の仇を取ろうとしているのだと打ち明けたことをきっかけに、わだかまりを抱えることになる。和解の末、さなに対して、自分の魔法を使って忘れることもできるぞ、と持ちかけるフェリシア。さなは家族に自分のことを忘れさせて欲しいと頼む。誰からも忘れ去られたふたりは、魔女に囲まれてその命を落とす。
・フェリシアとの出会い、帰る場所の話、お腹グーペコ。
・炊き出しにありつくふたり、橋の下で眠る
・魔女へ血眼になるフェリシア、必死に守るさな、互いの境遇が明らかになり、仲違いをする。
・ひとりに耽るさな、孤独のつらさを思い知る。探しにきて、謝るフェリシア。つらい思い出を忘れてしまえるぞと申し出る。
・二葉家へ忍び込むふたり、フェリシアのハンマーで、家族からさなの記憶を奪う。
・連携して魔女と戦うふたり。追い詰められ、逃げることもできず、絶体絶命の窮地にあって、どこかあたたかい、満ち足りた気持ちで意識を失うさな。
振り返り:
こちらはシナリオ概要と場面メモ。割と素直にそのまんまですね。迷わず書いた覚えがあります。
食事のシーンにおける親○しと🦀バ……の見立て、マジで最悪で最低で気に入っています。
書籍版シークレット
プロットメモ:
・環うい 「走馬燈」
ただ、楽しい日々を延々と綴る
振り返り:
シンプルに最低。
二行でこんなに酷いことある?
Murderous Conflict
プロットメモ:
・ななか組: Murderous Conflict
魔女の枯渇した神浜で、夏目かこを魔女化から救えなかったななかたち。しかし、ななかの能力により敵性はないと判断した彼女らは、その実用性とかこへの未練から、魔女となったかこを匿いながら、魔女を狩る生活を続けていた。
その中で、魔法少女を殺して回っていたまさらを殺害する。その際、ななかが敵性を失ったとわかっていたにも関わらずその判断を下したことに気づき、美雨は不審を募らせる。魔女となったかこを生かしている現状と一貫しないためである。
(ここもうワンクッション欲しい、主にあきら絡みで)
かこの不在について、あやめ経由で不審を抱く葉月からの追及をかわしきれなくなってきたななか。煮え切らない返答を訝しむ葉月は、あやめをなだめられなくなっていく。そんな中、こっそりと抜け出し、かこの魔力を追いかけたあやめは魔女と果てたかこの姿を発見し、全てを悟ってしまう。そのショックによってあやめがもはや再起不能になったことを認めた葉月は、ひとりななかのもとへと馳せ、どうしようもない結末だと了解しながらも、決闘を申し込む。
葉月をその手にかけたことで、ついに罪の意識に耐えかねたななかは、美雨に向かって殺してくれと懇願する。しかし美雨はそれを突っぱねながら、すべての責任をななかへと負わせていることを反省し、苦しみ抜いて魔女になったときは殺すこと、仲間にもっと頼ってもらうことを約束する。あきらも、完全に割り切ることはできないながらも、仲間であるななかと美雨とを追いかけることを誓う。
飛蝗の魔女だけでなく、もはや復讐の対象は数えきれないほど増えてしまった。あるいは、自分たちも数多くの魔法少女から恨みを買い、彼女らにとっての復讐の対象となってしまった。そのことを警告する都ひなのに対し、ななかは宣言する。目的を失った彼女たちだが、命ある限り、目につく魔女を弑し、たとえ無様でも生き続けることを誓うと。それがせめてものけじめだと。そう言い切るななかは、いつになく穏やかな、屈託のない笑みを浮かべているのだった。
アルまど
かこの魔女
会合、呪いの雨と暗殺者まさらの抹殺について
人目を忍ぶアジトの描写、まさらの追跡
加賀見まさらとの死闘
葉月とのやり取り、かこの行方
まさら抹殺をひなのへ報告、コネクトの説明
葉月との決闘
後悔、死の嘆願、美雨との約束、魔女の裏切り
かこの魔女討伐、あきらの決断、ななかの蘇生
ひなのとの決別
エピローグ
振り返り:
概要と場面メモ。
だいたい決まってるね〜強いて言うならあきらの活躍盛りたいという願望が生かすか死なすかの決断として表れたくらい?
と思ったけど肝心の某混沌さんのことなんも書いてないな……流石に構想段階で思いついていたはずなので、はっきり決まっているから書かないパターンな気がする。
これもやること決まってたんで戦闘描写に集中して書いた覚えがありますね。楽しかった。逆にみゃーこ先輩との政治戦? 心理戦? みたいなところはあんまりイメージ湧いてなくて苦労した覚えがあります。
Heartless Assassin
プロットメモ:
瀬名に狂気へと駆り立てられていたまさら、という種明かし
いなくなったこころの声に駆られて、手を汚し、どんどんと追い詰められ壊れていくまさらを描く
まさらとななかの対決の裏で、魔法を通じた瀬名と更紗の関わり
瀬名の去った瞬間、本当の声を思い出す
喪って、自分がとっくに揺さぶられていたことに気がつく、こころの声を聞く
悲鳴へと駆り立てられ、魔法少女を殺める、こころの声が強くなっていく
振り返り:
これも割とシンプル。狂気とはいえまさらがそんなことすると思えなくて、種明かし的な話として書けねーなーとなっていたんですが、メインストーリーでいい感じの人がいい感じに降ってきてくれたのでいい感じになりました。
Lost Bloom
プロットメモ:
葉月の遺体の前であやめに問う
あやめの不調、葉月の外部とのやりとり
葉月との相談、かこはおそらく死んでいる
あやめが見てしまう、思い詰める葉月
どうすれば良かったのか、これからどうすればいいのか
入水心中
コネクトした再現の魔法でかこの魔女化を見てしまうあやめ
振り返り:
場面メモ、なんですけどやれ遺体だの死んでいるだの入水心中だの酷いワードしかなくてひとりでじわじわきていました。
かこの再現はかこフェリの方で使うつもりだったんですが、あやめの絶望としてふさわしすぎると判断したため後付けで採用されています。再現魔法のキルレが高すぎると話題に。
Warm Memory
プロットメモ:
再現の魔法によって、フェリシアを看取る
呪いの雨が降った日の惨劇
生き残ってしまったフェリシアの苦しさ
振り返り:
ノープランすぎんか?
再現使っちゃったな〜どうしようかな〜となりながら、月のみなしごわすれものを読み返し、この二人旅の足跡を追う形にするか……となった覚えがあります。結局再現は使った結果再現のキルレが以下略。
再現でタイトル回収するつもりだったんですが、全然あったかい記憶じゃなくね? むしろ暗黒じゃね??? となったので、最後の場面でやや強引に「温かい記憶」という言葉を差し込みました。まあいい感じにミスリードになった(たぶん)し、さなフェリの道程はあったかい思い出だったし、いいか……
殴られそう。
Also Sprach “GRIEF”─『絶望』はかく語りき
プロットメモ: なし
振り返り:
ノープラン(本物)
楽しくおしゃべりさせればいいな! というノリで書きました。楽しそうで良かったです。
殴られそう。
まとめ
二次創作、ノリで描いているな……
当たり前だけど既存のキャラクターを使わせていただいているので、キャラクター性はわざわざ説明しなくていいし、メモに残す必要もないということで、全体的に短いし、“何をするか”だけ書いて成立しているんですね。
あと、「話の中でやりたいこと」がひとつであることが多くて、それはまあ忘れないのでメモって整理する必要もなく、意外と書いてなかったりする。メモに残しているのは決まっていないこと、どうしようかと考えていることなので、肝心なところが意外と抜けているのが面白いなーと思ったりしました。
今は一次創作のプロット作ろうとしているんですけど、分量がマジで全然違う。比べてみるのも面白そうだけど、オリジナルはあんまりホイホイ出せるものでもないし手書きが多いので、ネット上ではまあやんないかなー。
以上。