たかがそれだけ。
たかがそれだけ。そう思う人もいるだろう。
わたしもそう思う。
電波でやりとりする世界では、恋愛に果敢に挑み、失敗してもめげずに頑張る、そんな人たちの情報が溢れている。
わたしはダメだ。一回でダメになるタイプだ。
そんなわたしだからこそ、その数回は大きかった。ほんの数回の、その異性とのやりとり(しかも人数は二名)が。
なにもやってないけど、なにをやってもうまくいかない気がする。
傷つきたくないし、傷つけたくない。
嫌な自分になりたくないし、それを見てほしくもない。
たかがそれだけで、気づけば三十歳になった。
誰かわたしを好きになってほしい。見つけてほしい。愛してほしい。愛されたい。欲求ばかりが膨らむ。それでわたしは妊娠できるかもしれない。そんなことを思う。
本当はそうではないことなんて、とっくにわかっている。そんなことも思う。
しぶんが可愛いとは思わない。綺麗とも思わない。性格も良くない。そんな人間だ。誰にも愛されなくって当たり前だ。そんなことも思っている。
滑稽だ。
こんなことを悩み、こんなことを言葉にしている自分が。
過去数回の、好きになってもらうために女になった自分が。