新しいほくろ
扉がないから階段を降りていくことができなかった
鉄アレイが落ちていて拾うのが楽しかった
気づいたら夜が来ていて、窓があることがわかった
夜が来たからと言ってまた朝が来るかはわからなかった
もしもずっとが夜だったなら、夜をつくった人は、夜のことを夜とよんだかしら
思い出して鉄アレイを拾おうとしたらやわらかくなっていた。時間?
持ち上げられなくなったアレイをふょふょふよんでいたら、親指のつけねに新しいほくろだ。(ほくろだ!)
自転車を漕ぐ。信号でとまる。視線を下げれば新しいほくろだ。(ほくろだ!)
トイレに入る。太ももに手をおく。新しいほくろだ。(ほくろだ!)
お茶を飲む。口をぬぐう。……新しいほくろだ!(ほくろ「…」)
そうしてもどってきたら、階段を降りている最中だったから、それはそれは嬉しかったですよ
文:片岡
Twitter→@okayuyao
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これは以下の企画7日目の記事です。
https://note.com/yadorigi0520/n/n0930ba15f931?sub_rt=share_pw