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おしゃべりな吃音症患者の話

今日は、私の抱えている障害についてお話ししようかなと思います。

私は吃音症です。 小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害 とも言います。どもる、って言葉ありますよね。あれは漢字だと吃ると書くのですが、吃音症はまさに常時どもってしまう障害で、うまく言葉が話せません。言葉が話せない、というのは、言葉が頭に出てこないのではなく、口に出そうとすると途端に息がつまるような感じがして、音を出すことができません。発表の時や面接の時など、緊張した時に、つい慌てて『そ、それでは』と同じ言葉を言ってしまったり、文の最初の文字が発せなかったりすることがありませんか?あれが常に起こっているような症状が出ます。しかし、吃音症は、精神的な部分に問題はなく、緊張していなくてもこの症状が出ます。言いたいことは頭の中で出来上がっています。でも、音にできません。強引に話すには、そのまま強行してどもりながら話すか、最初の音を伸ばしてすんなり言える機会を伺うか、もしくは違う言葉に言い変えるか、しかありません。あとはもう、黙ってしまうしかありません。実際、喋るのを諦めて、一切言葉が話せなくなってしまう患者さんもいらっしゃいます。

(ちなみに、どもるというのは差別用語なのでご注意ください。日本では他にわかりやすい言葉が見つからなかったので使用させていただきました。お詫び申し上げます。)

常に、といっても具体的にいつ症状が出るのかというと、おはようございます、こんにちは、お疲れ様です、お先に失礼します、・・・全部言えません。もちろん、調子のいい時はすんなり言える日もありますし、バイトなどで言いなれると言えるようになったりもします。ですが、基本的にははっきり言える日の方が少ないように感じます。めちゃくちゃ小声になってしまったり、適当に濁して言ってしまうこともあります。なので、コンビニの店員さんに「ありがとうございます」と言えなかったり、レストランの店員さんに「これと、」とメニューを指差して注文してしまった時は、申し訳ない気持ちになります。普通に日常生活に支障をきたしていますし、日々悩んでいます。

それなのに、吃音症はあまり認知度がありません。

親にも「癖だ」と言われ、親戚にも「緊張すると私もどもるよ」と励まされました。何も響きませんでした。私の悩んでいることは何一つ周りから理解を得られませんでした。娘が障害者であるという事実を認めたくなかったのでしょう。おおごとにしたくなかったのだと思います。なのでずっと、これは「私の癖」で、私が悪いのだと思っていました。私の改善でどうにかなるものなのに、それを怠っているのが悪いのだと思っていました。

私は小学生頃に、私はどうもおかしいと自覚するようになりました。みんなは国語の音読もスラスラ読むし、発表も実にスムーズです。なのに私は毎回この吃音のせいで、うまくできなかったらどうしよう、と心臓が飛び出るんじゃないかというくらいドキドキして、貧血を起こしそうなほど極度に緊張していました。国語の授業は毎日公開処刑でした。

中学生になって、私はついにネットで吃音症という病名を知りました。するとどうでしょう、単語が途切れる、遠回しにものを言う、最初を伸ばす、最初の音を連発する、すべて当てはまっています。

同時に、心が軽くなりました。「なんだ、私が悪かったんじゃない、障害だったんだ!」と楽な気持ちになりました。ならしょうがない!と思えたのです。そして、当事者であってもこの年まで誰も気が付かなかった、つまりとても認知度が低いことを知り、もっと知ってほしい、と思うようになりました。

私はおしゃべりが好きです。おしゃべりがめちゃくちゃ好きです。ずっと喋っていられます。吃音はもちろん出ますが、周りの友人は気にせずお話ししてくれるし、私も楽しいというのが先行して喋ってしまいます。なので、今はさほど気にしてはいません。うまく付き合っていこうと思っています。辛くないかと聞かれれば辛いです。障害は個性とはよく言いますが、言い得て妙だと思って、プラスに考えるようにしています。

でも先ほどいった通り、日常生活で不便を感じることもありますし、もっと重い症状の患者さんもいらっしゃるれっきとした障害です。

もちろん完全に理解しろと言いたいわけではありません。吃音患者も特別気にしてほしいわけではありません。なんなら普通に接してほしいです。すんなり話せないんだ、可哀想に、おしゃべりも楽しめないのか、と思ってほしいわけではありません。ただ、私は頭の片隅に置いておいてほしいなと思います。そういう人もいるんだ、と知識として、知っておいてほしいなと思います。そして、子どもが吃音で悩んでいた時、親が矯正を勧めてあげられるような認知度になれば素敵だなと思います。(カウンセリングや発声練習のような感じですが、治療を行なっているクリニックもあります)

この前の客が全然喋らないやつでムカついてさ、なんて話を友人からされた時、そういう日もあるよと笑いながら、吃音患者の可能性をほんの少しでいいので感じてほしいと思います。


めちゃくちゃに書きなぐってしまいました。Wikipediaですが興味があったら覗いてみてください。Wikipedia


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